【悪魔のいけにえ】Tobe Hooper R.I.P. The Texas Chainsaw Massacre あのドラマの元ネタ!あらすじ ネタバレ

振り幅が広過ぎるLyraでごめんなさい!昨日「This Is Us」で家族の愛を唱えたLyraでしたが、今日はとんでもない家族の話をしたいのであーる。

記事は随分前に書き上げていたのだけどタイミングが合わず、、、秋になってしまった。

Tobe Hooperトビー・フーパーの映画は幾つも見てきたけど今年の夏に亡くなってしまいました、、、。

彼の「恐ろしさの中に垣間見れる美しさをもう見れなくなるのか?」とLyraは非常に残念です。

Walking  Deadの監督さんも同じこと考えているみたいでSeason8のドラマの最後のテロップにTobe Hooperに捧ぐと出していましたね。

ホラー好きでなくても映画ファンにとっては良くも悪くも影響を受けた監督さん。今日は、フーパー監督に敬意を払って彼の代表作を紹介しましょう。

「私、怖いの嫌いだから見てないし知らない監督」だなんて言わないで!

あなたトビー・フーパーに影響受けてるわよ、知らないうちに!

トビー・フーパー(Tobe Hooper, 1943年1月25日 – 2017年8月26日)は、米国テキサス州出身の映画監督・脚本家でホラー映画の巨匠!

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もとは短編映画を撮っていましたが、今日、紹介する1974年の”The Texas Chainsaw Massacre”『悪魔のいけにえ』で監督デビューを果たしました。

その後、逸話を含め話題になった『ポルターガイスト』(1982年)や『スペースバンパイア』(1985年)など、数多くのホラー映画のヒット作を生み出しましたが、2017年8月26日、カリフォルニア州内で逝去。享年74。死因詳細は明らかにされていません。

『悪魔のいけにえ』”The Texas Chain Saw Massacre”は、アメリカでの公開は1974年10月4日、日本での公開は1975年2月R指定作品。日本においても2015年のリバイバル上映よりR-15指定というんだからその前は平気だって凄いな、日本!

本国で公開当初は、残酷性の高さゆえに「決して観てはいけない」と学校などで告知される事態が発生し、全米各州で上映禁止処分が下ったり、ドイツなど一部の国では殺人・喰人シーンなど残酷な場面をカットしたバージョンしか鑑賞が許されなかった時期があったくらい残虐極まりないホラー映画です。

ただLyraが、冒頭でお話ししたように気持ち悪いだけの残虐スプラッタームービーの先駆け映画なのに、ふとした瞬間、芸術的なシーンが浮かび上がってくるんです。

美しさすらあるカメラワーク。

どんな作品か気になるでしょう?

Lyraの感想をお話しする前にあらすじを紹介しますね。

*Lyraのブログはネタバレ全開です。詳しい内容を知りたくない人は、Lyraの感想をお読みください。

= あらすじ The Texas Chainsaw Massacre =

1973年8月13日。

真っ暗で何も見えない。

ポラロイドのカシャ、カシャと言う音と共に写し出されるのは皮をはがされ焼かれた死体。

その死体を二体使ってオブジェの様にして墓地に何者かが飾った。

ここテキサスでは、墓地で死体が飾られていたり、墓荒らしや殺人事件が起きているとニュースが連日報道していた。

ワーゲンバスに乗っている男女5人もその残忍な犯行をカーラジオから聴いていた。真夏で暑がる面々。

テキサス州に帰郷しにドライブ旅行をしているこの5人は、墓荒らしが頻発しているにもかかわらず、帰郷がてら兄フランクリン妹サリーの父親の墓が無事かを確かめるために訪れたのだ。

父親の墓は無事であったが、他はかなり荒らされ田舎町の人や警察が来ていた。

安心した5人は、フランクリンとサリーの亡くなったお爺ちゃん家が近くにある為、どうなっているかついでに確認したいと言う。

その古家に向かう途中、屠殺場の工場のそばを通る。

サリーとパム、2人の女たちは、臭い匂いに文句を言っていた。

だが、フランクリンは、自分が車椅子で上手く移動出来ないのに他の4人がぞんざいに扱う為、おしっこするときに坂道から転げ落ちたりして頭にきていたから仕返しついでに女たちが嫌がりそうな話をし出した。

フランクリンの叔父は、屠殺場で働いていたからこの工場に勤務していたに違いないと確信したかのように言い、ハンマーより電気が上手く殺せて良い、と牛の殺し方を詳しく話していた。

その時一人のヒッチハイカーを拾う。

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その男は頬に血が付いていて、様子が明らかにおかしかった。

話を聞くと、屠殺場で働いていて帰宅する途中だと言う。

フランクが動物の殺し方を尋ねると、昔ながらのハンマーで頭を撃ち殺すのが1番良いと話し、

「実家では代々、屠殺場で働いて来たんだ。屠殺した牛や羊などの頭だけを集めて煮込むと美味しいヘッドチーズが出来るんだ!ウチによって食べていけよ!」と誘った。

だが、気味が悪い話をしたり挙動不審な為に皆、うまく断る。

気味が悪いヒッチハイカーは薄笑いをしながらポラロイドカメラを取り出してフランクたちを撮影したかと思うと「$2でいいから金を払え!」と言い出した。

写真の出来も悪いし、とにかく奴が気味が悪い。丁重に断るフランクとカーク。

すると自分が歓迎されていないのがわかったヒッチハイカーは、獣で作ったポシェットから、銀紙を出しポラロイド写真を乗せると上から火薬のような粉を振りかけ火をつけた。

車内で炎が上がる。危ない!と言うフランク、カーク、運転しているジェリー。

注意され、頭に来たヒッチハイカーは、いきなりフランクのナイフを貸してくれと言うが早いか、左手を深く切り始めた。真っ赤な血が流れ出し喜ぶヒッチハイカー。

「何で自傷行為をするのかわからない!」とサリーとパムは叫び声をあげ、ヒッチハイカーは笑いながら切りかかる異常な行動に出た為、無理やりワーゲンバスから下ろした。

するとヒッチハイカーは怒り狂い、ワーゲンバスの右後ろに手から流れる血で何かを記し車体を蹴飛ばした。

車内では、一日中ずーっとパムが不吉な占い本を読み上げていた為に、余計にフランクが奴が追ってくるのではないか?とビビる始末。

一行は、ガソリンを分けてもらうために田舎町の小さいスタンドに寄る。

店主に「ガソリンを入れてくれ」と頼んだら、「ガソリンが今は無くて届くのは良くて夕方、下手すりゃ明日だな」と言う店主。

お爺ちゃんの古家が近くにあるはずなので尋ねると知らないと言う。

「それより時間がかかるだろうから、店にバーベキューした食い物があるし寄って行けよ。古家に寄って行くなら女の子達は、店でまたせりゃいいし、、、」と誘って来た。

だが、先を急ぎたいのと、ガソリンが必要な為に他の店を探す事にした。

「車が止まったら車椅子で引っ張ってくれよな」とカークが嫌味をフランクリンに言う。

フランクリンとサリーのお爺ちゃん家を見つけると廃屋でボロボロになっていた。

車の後ろに血で何か書かれているのに気づいたパムが「何かの文字じゃないの?」と不気味がる。

「ベラゴシの生誕地か?ゾロのしるしじゃね?」とカークは取り合わない。

フランクリンは、余計にビビり始め、護身用ナイフを捜すがなくなっているのに気づいた。

又もや自分だけ車椅子に置いてけぼりになり、旅に連れ出した妹達を毒づいた。

そこへカークとパムが湖に泳ぎに行くと出かけて行った。

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去って行く2人を見ていたフランクリンは、その先に骨や鳥の羽で作られたサークルみたいのが地面にあるのを発見。

ゾッとしながら辺りを見渡すと、自分が座っている戸口の天井から骨がぶら下がっているのに気づいてしまう。

「サリー!」と二階にいる妹を呼ぶフランクリン。

湖も川も干上がっていて何もない為に「面白い物はないか?」とカークは、嫌がるパムを連れて散策。

一軒の家を見つけた。

自家発電の音がうるさく鳴り響くひまわり畑を抜けて行く2人。

カークは「誰かいませんかー?」と叫んだ。

すると玄関先に誰かの歯が落ちていた。気づいたカークはパムに見せると、キモい物を見せるから怒ったパムは離れて、庭のブランコに座って1人待つことにした。

「誰もいないの?」とカーク。

1人で中に入ると、うめき声みたいな小さな音をした。

「すいませーん!」と奥に行くと、目の前のドアが開いてあり、赤い壁に牛や鹿などの剥製の頭がたくさん飾られているのが目に入る。

突如、人の皮のお面を被った大男のレザーフェイス(本名ババ・ソーヤー)が現れ、ハンマーでカークの頭を叩くと、ズルズルと中に引きずり込み鉄の扉をバン!と閉めた。

カークの声が聞こえなくなったのに気づいたパムは、カークを探して一軒家に入る。

目の前には銀色の鉄の扉が閉まっている。横の開いている部屋へ探しに行くと何かにつまづいて床に倒れてしまうパム。

見ると部屋の床は鳥の羽や動物の毛が敷き詰められており、動物の骨や人骨がまるでオブジェのように組み合わされて置かれていたりモビールとして飾られている。

あまりの気持ち悪さに吐いてしまうパム。

彼女の前に、屠殺用のエプロンをした先ほどのレザーフェイスが現れ、あっと言う間にパムを抱き抱えると、赤い壁の部屋の奥にある部屋の天井からぶら下がっている、太い鉄の肉用フックに、パムを引っ掻け、その間に、死んだカークをチェーンソーで首から切り刻んで行った。

背中から血を流し激痛に悶え苦しみながら、肉に食い込んだフックから逃げ出せないパム。

もう外は夕暮れ。

「俺を恨んでいて奴は殺しにくるかな?」とフランクリンは、ジェリーに話していた。

自分のナイフがないことをサリーに話しても知らないとしかいわない。

まだ戻って来ないカークとパムを心配してジェリーは、探しに行くと言い「サリーはフランクリンについていてやれ、待っていろ」と言われてしまう。

兄妹、2人になり「俺はお荷物だろ?」と愚痴る兄。

「パムが言っていた占いを信じるか?」とフランクリンが聞くと「何にでも意味はあるわ」とサリーは答えた。

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ジェリーは、一軒家に来た。「誰かいますか?友人を探しています」と大声で言うが反応なし。

玄関先にカーペットがかけられていたのを見て「2人ともいるんだろ?からかうなよ」と言う。

すると部屋の中で小さい声がした。ジェリーは、木のドアを開け中に入ると、目の前に赤い壁に剥製の首がたくさん飾られている部屋が目に入った。

そこへ吸い寄せられるように歩いて行くと、クーラーボックスみたいな大きな箱がいくつか置いてあり、その一つがガタガタいっている。

フタを開けると、中から青黒くなったパムが飛び出して来た。死後硬直か?

ビックリしてのげぞるジェリーに、突如現れたレザーフェイスがハンマーを振り下ろし殴り殺した。

辺りは真っ暗で何も見えない。

夜になっても皆んなが戻って来ない為に兄妹は、車のクラクションを何回も鳴らし皆んなを呼ぶ。

探しに行く行かないで兄弟喧嘩になるも、結局、2人で探しに行く事に。

サリーが車椅子を押してガタガタ道を行く為に上手く先に行けない。

しかし、明るい光が見え一軒家を見つけた2人は、住民に話を聞くために近づいて行く。

すると、レザーフェイス(ババ・ソーヤー)が、チェーンソーをうならせて現れ、振り下ろしフランクリンを切り刻んだ。

「ギャー!」と叫び声をあげながらサリーは、真っ暗闇を逃げる。

レザーフェイスはチェーンソーを鳴らしながら追ってくる。

「助けて!ギャー!」と家の中に入るとドアを閉めた。するとドアをチェーンソーで切り刻み始めるレザーフェイス。

二階に上がり、ソファに座る人を見つけて「助けて!」と話しかけると顔が剥がされた男のミイラだった。

横にも同じように剥がされたミイラと、剥がされた小さな犬がいた。

又「ぎゃー!」と叫びながら下に降りて来たサリーにレザーフェイスが襲いかかる。

サリーは「ギャー!ギャー!」叫びながら、また階段を駆け上がり窓ガラスを突き破って二階から飛び降りた。

逃げられ頭に来たレザーフェイスは、チェーンソーを掲げて音を上げて追って来た。

サリーは「ギャー!ギャー!」と叫び声をあげ続けながら走る。

走り続けて行くと、お昼に立ち寄ったガソリンスタンドがあり逃げ込み、店主に助けを求めた。

「ここには、電話がないからチルドレスまで行かんとな。車で行こう」とトラックを取りに行く店主。

店に1人残されビビるサリー。

店内の横が気になった。

壁から焼かれた肉がたくさんぶら下がっている。

嫌な予感がする。

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店主は「車に乗ろう」といいながら、何故か手には、ロープと麻袋を持っていた。

殺される!と気づいたサリーは、大きな叫び声を又もやあげながら抵抗したが、店主にホウキでたたかれ、気絶。

拉致され、目が覚めると、目の前にいたのはチェーンソーのレザーフェイスに、ガソリンスタンドの店主、そしてヒッチハイカーの3人が笑ってこちらを覗きこんでいる。

彼らは、人を襲う「人食いソーヤー一家」だったのだ。

「おい!2階から爺様を連れてこい」と父親の店主がいうと、兄のヒッチハイカーと弟のレザーフェイスがミイラみたいなお爺さんを抱えて連れてきた。

兄は、レザーフェイスに「手を貸せ!」と言うとサリーを羽交い締めにさせた。

そして、サリーの指をナイフで切り、流れる鮮血を爺様に吸わせた。

今まで微動だにしなかったミイラの爺様は、実は生きていて、サリーの血を吸うと赤ん坊のように身をよじって喜んだ。

気を失ったサリー。

目を覚ますと4人が大きなテーブルに座りこちらを見ながら食事をしていた。

「ギャー!」とサリーが叫ぶと兄弟も真似して「ギャー!」と叫ぶ。

面白がっているのだ。

サリーの前にも夕食の肉やパンが置かれていた。

テーブルの上には料理以外に、骨のオブジェや人の皮で作ったらランプなどが飾られている。

「お願い助けて。あなたが止めて。」とサリーが店主に言うが、大人しくしてれば痛くない、と言うだけ。

兄弟2人が襲って来た。

ロープを外して兄がサリーを殺そうとすると、サリーが叫び声を上げながらあばれて、どさくさに紛れて逃走。

うまい具合に、また窓ガラスを突き破り外へ出た。

辺りは明るくなり朝になっていた。飛び降りたサリーは引きずりながらよろめき走る。

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後ろから兄のヒッチハイカーが追って来る。

後ろからは、屠殺用のエプロンから、いつの間にかスーツに着替えていたレザーフェイスがチェーンソーを鳴らしがら追っかけて来る。

サリーは道路の真ん中で、ついに兄のヒッチハイカーに腕を掴まれた。

そこへ猛スピードで走って来た大型トラックがやって来て、ヒッチハイカーを引いて真っ二つにした。

サリーは血だらけで助けを求め、運転手がトラックに乗せたが、車は溝に入り走れなくなったために、ドアの反対側から2人は逃げ出した。

レザーフェイスは、チェーンソーで2人に襲いかかるが、運転手が棒で殴りかえしてきた為に、レザーフェイスはひっくり返り、その拍子で唸るチェーンソーで足を負傷。

それでも怒り狂うレザーフェイスは、サリーにチェーンソーを振り上げて襲って来るが、たまたま一台のピックアップトラックが通りかかってサリーはレザーフェイスに切られそうになっているところを、トラックの荷台に飛び乗った。

助かった血だらけのサリー。

彼女は、勝利の雄叫びのような悲鳴を上げる。

笑いながら悲鳴をあげるサリーに、まるで答えるかのように、レザーフェイスであるババ・ソーヤーはチェーンソーを振り回し続けた。

燃える朝日の光の中に包まれながら、、、。

= Lyraの感想 =

レザーフェイス(ババ・ソーヤー)が、オレンジ色に染まる朝日の中をチェーンソーを振り回すシーンは、まるで死の舞踏のよう。

まるでカート・ヴォネガットの【死の舞踏】だ。

Lyraには、この醜悪なレザーフェイスが朝日の中で踊るシーンは、なぜか美しく、残虐スプラッタームービーとは思えない静寂にも似た光を放っている。

気持ち悪いシーンしかない、この『悪魔のいけにえ』。だが、目を惹くカメラワークが時々、現れて来ると気持ち悪さを一掃してくれるまさにアート。

トビー・フーパーは、「悪魔のいけにえ」で全米及び英国への進出を果たし、製作費は約4000万円と低めだが、現在まで世界中総額60億円以上の配給収入を上げているモンスターを描くまさに怪物映画になった。

ババ・ソーヤーがレザーフェイスの本名。エキゾチックな名前は、トビー・フーパーの十八番。

そのババ・ソーヤーは実在の人物をモデルにしている実話に基づいていると言うのは有名な話で、この映画の初めにもテロップが流れるが、これガセネタだよ!

1957年にウィスコンシン州プレインフィールドで実際に発生したエド・ゲインの猟奇殺人事件、エド・ゲイン事件をモデルにしたとなってるが、実は監督本人はこの事件について記憶が曖昧なんだって。

ただ評論家がエド・ゲイン事件に似てる部分があると評したのがきっかけで、それならば冒頭部分のテロップに「これは真実の物語」をつけたら、観客の恐怖を煽れると思った監督が、追加した演出だっただけなのだ。

たまたまの思いつきだけど、売れるための効果を知ってるな、

カメラワークや撮り方も面白い。

粗い画像が物語全体の不気味さや気持ち悪さ、下品さと言ったソーヤー一家の狂った生活や、主人公達の恐怖や物語の独特な雰囲気を醸し出しているが、これは演出効果や技術的なものでなく、たまたま製作予算が低かっただけだ。

通常に使われる35mmフィルムではなく、購入も現像も安価で済む16mmフィルムで撮影したものをスクリーンに合わせて映像のサイズを拡大したもので、節約したらたまたまフーパー監督の手法とピッタリ合ってしまい、印象に残る独特な効果をだしてしまっただけなんだから、笑ってしまう。

世の中、何が功を制するか分からないものだ。

噂や画像の悪いのを逆手にとる手法だけでなく、『悪魔のいけにえ』は、真に迫った殺人の描写やそのプロットは斬新である

後に数多くの監督や映画製作者や多方面のフォロワーを生み、今ではこのホラーの原点と言っても過言ではない。

その影響力と芸術性が認められ、マスターフィルムがニューヨーク近代美術館に永久保存されることとなったのだから、凄すぎる。

マイナーなホラー映画が時代を制した瞬間だね。

初公開当時の日本ヘラルド映画株式会社、(現角川ヘラルド・ピクチャーズ)の判断により原題とは無関係な邦題だが、直訳したら『テキサスチェーンソー大虐殺』となる。

そう、現代の方がそのまんま内容を表している。

チェーンソーは劇中で殺人鬼・レザーフェイスが殺人に使うが、この映画のパロディ映画や、この映画をパクったような作品『13日の金曜日』の殺人鬼ジェイソンがチェーンソーを武器として使うイメージが出されるが、実際にチェーンソーを武器として用られるのは『悪魔のいけにえ』だけである。

多分、この映画のチェーンソーで人間をぶった切りのインパクトが強すぎて、話題になったジェイソンと話がごっちゃになった人々が多かったのだろう。

チェーンソーで人を虐殺も怖いが、その殺戮シーンに行くまでのちょっとした道具を使うのがトビーフーパーは、うまい。

ババ・ソーヤーやソーヤーの長男が出てくる前に、ワーゲンバスの中でパムが「American Astology」をずっと読んでいるのが不気味だ。

土星が逆行してるから良くないことが起きるとか、パムが読む星占いは、これから起きる全てを予言しているのが笑えた。

フランクリン以外はなんとも思っていないが、映画のストーリーを星占いで予言してネタバラシしてるんだから監督のお遊びなんだろうか?

その予言を聞くと、これからの恐怖でぞーとしてしまう。

それ以外にも、殺戮前に出てくる、部屋の隅のクモや虫の音がカサカサしてるのがキモいが不思議さがあり、

人骨のオブジェ、

剥製に赤い壁、

泣き叫ぶサリーの目玉にカメラがドアップして行く手法、

自家発電が鳴り響くひまわり畑を歩いて行くカークとパム、

そして、朝焼けにチェーンソーを振り回し悔しくて踊るババ=レザーフェイス、

恐怖に向かう前の小道具である物や画像が効果的で、綺麗だ。

映画全体は汚物。

はっきり言って、恐怖で主人公達が吐いたものが塗りたくられているみたいだ。

なのに、一つ一つの出てくる物や画像は、美しく絵画的なのだ。

まさにカメラやポラロイドで撮れば、シュールなアート作品の写真になるだろう。

だからか、悪魔のいけにえを見た後、清々しいきもちになる。

主人公のサリーが助かり、悪であるソーヤー一家の魔の手から逃げおおせたからでもあるが、勝利を手にしたサリーの雄叫びのように、見終わった私達も何かを勝ち得たかのような、清々しい気持ちになるのだ。

あっけなくハンマーで殴り倒されチェーンソーでバラバラにされるカークに、

生きたまま鉄のフックに引っかけられたまま出血多量で死ぬパムなど、無残すぎる殺し方は酷すぎる。

牛や動物をバラバラにして首だけ集めて煮てチーズを作る話は、ソーヤー一家の事だから人間の頭でもやってるだろう。だから、クーラーボックスに人を入れているのを見て、ふと連続殺人事件を思い出してしまい吐きそうにもなった。残忍極まりない最低な映画だ。

だが、実験的ともいえるカメラワークや、小道具の上手な使い方、ストーリーのテンポの良さには、眼を見張る物があり、ただのスプラッターやホラー映画といってはいけない芸術性があるのだ。

これが、トビーフーパーの他の監督には出せない不思議な魅力であり、才能なのかもしれない。

怖いだけでない、変わった映像を盛り込む所は、実験的であり、好きな物を映像化しよう、観客に面白いって言われたい、という素直な創作意欲からなのだろう。

映画を、本当に愛していたのだろう。

それが、私達、見るものにも映画の中で伝わって来るから、怖いだけでない愛情に似た美しさに思えてしまうに違いない。

ちなみに、最近Lyraがウォーキングデッドで「リック、いい加減ポラロイドカメラ撮るのやめればいいのに」と言ってるポラで撮るのは、トビー・フーパーの映画を真似してるのだろう。フーパー監督への愛ゆえに。

もちろん、リックの顔や目玉アップも『悪魔のいけにえ』のパクリだとLyraは思うよ。全て映画への愛ゆえに。

ホラーの巨匠トビー・フーパーの映画への愛ゆえに。

トビー・フーパーへの愛ゆえに。

映画というのは魔物だ。

1人の人間に愛を抱かせるのだから。

Tobe Hooper…R.I.P.

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『悪魔のいけにえ』
” The Texas Chain Saw Massacre “

監督 トビー・フーパー
脚本 キム・ヘンケル
トビー・フーパー
製作 トビー・フーパー
ルー・ペレイノ
製作総指揮 ジェイ・パースレイ
音楽 ウェイン・ベル
トビー・フーパー
撮影 ダニエル・パール
編集 ラリー・キャロル
サリー・リチャードソン
配給 アメリカ合衆国ブライアンストン・ピクチャーズ
日本ヘラルド映画
公開 アメリカ合衆国1974年10月1日
日本1975年2月1日
上映時間 83分
製作国 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $83,000
興行収入 $30,859,000アメリカ合衆国、カナダ
次作 悪魔のいけにえ2

=Cast = キャスト

役名 俳優 日本語吹き替え
東京12チャンネル版 BD新録版
サリー・ハーデスティ  マリリン・バーンズ 泉晶子 坂井恭子
ジェリー  アレン・ダンジガー 石丸博也 中林俊史
フランクリン  ポール・A・パーテイン 秋元羊介 駒谷昌男
カーク  ウィリアム・ヴェイル 田中秀幸 小松史法
パム  テリー・マクミン 高橋ひろ子 森夏姫
ヒッチハイカー エドウィン・ニール 青野武 青山穣
老人(コック)ジム・シードウ 坂口芳貞 池田ヒトシ
レザーフェイス  ガンナー・ハンセン 福士秀樹 中林俊史
グランパ(じい様) ジョン・デュガン 小野丈夫 越後屋コースケ
カウボーイ ジェリー・グリーン 郷里大輔
アナウンサー 蟹江栄司
ナレーター ジョン・ラロケット 青山穣

東京12チャンネル版吹き替え – 初回放送1979年7月24日『火曜映画劇場』
2007年7月13日発売の「悪魔のいけにえ スペシャルエディション・コンプリートBOX」(DVD)のディスク3に収録。
BD新録版吹き替え
2015年11月4日発売の「悪魔のいけにえ 公開40周年記念版」(Blu-ray Disc)に収録。

スタッフ

監督・製作・脚本 – トビー・フーパー
脚本 – キム・ヘンケル
撮影 – ダニエル・パール(『テキサス・チェーンソー』でも撮影を担当)
音楽 – ウェイン・ベル、トビー・フーパー

受賞など

1974年度ロンドン映画祭最優秀賞受賞作品
英国監督週間上映作品
1974年度〜BBC最重要注意作品
続編

続編として『悪魔のいけにえ2』(The Texas Chainsaw Massacre 2, 1986年)、『悪魔のいけにえ3 レザーフェイス逆襲』(Leatherface: Texas Chainsaw Massacre III, 1990年)、『悪魔のいけにえ レジェンド・オブ・レザーフェイス』(The Return of the Texas Chainsaw Massacre, 1994年)が製作された。さらに2004年に製作30周年を記念して『The Texas Chainsaw Massacre 5』と名付けられた5作目の製作がトビー・フーパー監督、製作総指揮の下でスタートされたが、脚本が完成した時点で資金面の理由により断念された。

2013年 には『飛びだす 悪魔のいけにえ レザーフェイス一家の逆襲』(“Texas Chainsaw 3D”)のタイトルで新作が公開された。

2015年現在、ジュリアン・モーリー及びアレクサンドル・バスティロ監督による前日譚”LEATHERFACE”が製作中である。

リメイク
マイケル・ベイの製作会社であるプラチナム・デューンズがリメイク権を獲得し、マーカス・ニスペル監督で『テキサス・チェーンソー』(The Texas Chainsaw Massacre)が2003年に公開された。さらに2006年にはジョナサン・リーベスマン監督による前日譚『テキサス・チェーンソー ビギニング』(The Texas Chainsaw Massacre: The Beginning)が公開された。

= Tobe Hooper =

本名 William Tobe Hooper
生年月日 1943年1月25日
没年月日 2017年8月26日(74歳没)
出生地  アメリカ合衆国 テキサス州オースティン
死没地 アメリカ合衆国 カリフォルニア州
職業 映画監督
脚本家
ジャンル ホラー映画
主な作品
『悪魔のいけにえ』
『ポルターガイスト』

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=フーパー監督作品=

・悪魔のいけにえ The Texas Chainsaw Massacre (1974)
・悪魔の沼 Eaten Alive (1977)
・死霊伝説 Salem’s Lot (1979)
・ファンハウス/惨劇の館 The Funhouse (1981)
・ポルターガイスト Poltergeist (1982)
・スペースバンパイア Lifeforce (1985)
・悪魔のいけにえ2 The Texas Chainsaw Massacre 2 (1986)
・スペースインベーダー Invaders from Mars (1986)
・キャベツ男の微笑み Miss Stardust (1987) 『世にも不思議なアメージング・ストーリー』第2シーズン第21話
・スポンティニアス・コンバッション/人体自然発火 Spontaneous Combustion (1990)
・ドレス I’m Dangerous Tonight (1990)
・ハリウッド・ナイトメア Tales from the Crypt (1991)
・マングラー The Mangler (1995)
・トビー・フーパーの世にも不思議な怪奇アパートメント The Apartment Complex (1999)
・レプティリア Crocodile (2000)
・ツールボックスマーダー Toolbox Murders (2004)
・遺体安置室 -死霊のめざめ- Mortuary (2005)
・Destiny Express Redux (2009)
・悪魔の起源 ジン Djinn (2013)

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