【ボーはおそれている Beau Is Afraid】ネタバレ【保存版】あらすじ 解説 感想 キャラクター紹介

アリ・アスター監督の映像美と狂った題材を次から次へとぶっ込み見るものをアスター監督の脳内に連れて行くオチがLyraは大好きなので、今回は2023年4月公開したブラック・サイコ・コメディの最新作【Beau Is Afraid ボーはおそれている】を解説します。

あらすじもいつも通り、ネタバレ有り無しで読めるように書いたのでお好みの読み方をした後に、解説していますから楽しんでくださいね。ただ…

楽しむと言ってもLyraと同じ狂気映画好き(なんてジャンル勝手に作ってもうたww)の方々ならば、救いようのないラストを楽しめると思いますが、救いようがない映画に耐性がない方々は、落ち込んでしまうかも?しれないので、そう言った意味を含めて、Lyraのこの【ボーはおそれている Beau Is Afraid】のあらすじ、感想、解説を読んでから映画を見た方が良いと思います。

それではアリ・スターの脳みそへの旅へとご案内致しましょう!

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1.【ボーはおそれている】概要

Beau Is Afraid

 

『ボーはおそれている』(Beau Is Afraid)は、アリ・アスターが脚本、監督、共同製作した2023年のアメリカのシュールレアリスム悲喜劇ホラー映画,この映画にはホアキン・フェニックスがタイトルキャラクターとして主演し、パティ・ルポーン、ネイサン・レイン、エイミー・ライアン、カイリー・ロジャース、パーカー・ポージー、スティーヴン・マッキンリー・ヘンダーソン、ヘイリー・スクワイアズ、マイケル・ガンドルフィーニ、ゾーイ・リスター・ジョーンズ、アーメンからなる助演アンサンブルキャスト、ナハペティアンとリチャード・カインドなど。

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そのプロットは、温厚だが偏執症に陥ったボーが、母親の元へ帰るための超現実的な冒険に乗り出し、その途中で最大の恐怖に気づくというものである。

2.時短あらすじ

 

主人公・ボー(ホアキン・フェニックス)は、日常のどんな些細なことでも怖がる常に不安を抱えている男。 近所の不良のガサツな行動や自分がうがい薬をうっかり少しだけ飲んでしまったことでも気になってしまい、落ち着かない悪夢のような日々を過ごしていた。ある日、母親と話して軽く言い合いになった後、少し経って母が怪死したと知る。ボーは母の元へ駆けつけようとアパートを飛び出す、だが、世界は激変していた……。 現実なのか夢なのかはっきりしない中、地図にのっていない道を旅するうちに、奇妙で予想外な出来事が次々とボーにふりかかる。現実?妄想?それすらも分からないまま、ボーの里帰りはいつしか壮大な旅へと変貌していく。これは運命なのか、それとも……。

Beau Is Afraid is a 2023 American surrealist tragiccomedy horror film written, directed, and co-produced by Ari Aster. The film stars Joaquin Phoenix as the title character, and also includes a supporting ensemble cast consisting of Patti LuPone, Nathan Lane, Amy Ryan, Kylie Rogers, Parker Posey, Stephen McKinley Henderson, Hayley Squires, Michael Gandolfini, Zoe Lister-Jones, Armen Nahapetian, and Richard Kind. Its plot follows the mild-mannered but paranoia-ridden Beau as he embarks on a surreal odyssey to get home to his mother, realizing his greatest fears along the way.

3. Cast & Staff

【詳しいあらすじ】に行く前にキャスト・スタッフ紹介!

 

ボー・ワッセルマン: Joaquin Phoenix ホアキン・フェニックス

アパートで一人暮らしをしている神経過敏な男。依存症、暴力、狂気に満ちた日々のストレスを抱えながらもカウンセルング、処方薬を飲みながら何とか生きている。

モナ・ワッセルマン: Patti LuPone パティ・ルポーン

 

ボーの母親。かなりの資産家。

 

ロジャー: Nathan Lane ネイサン・レイン

 

外科医。なぜか自宅療養させる。

 

グレース: Amy Ryan エイミー・ライアン

外科医・ロジャーの妻。

 

トニ: Kylie Rogers カイリー・ロジャーズ

ロジャー& グレース夫妻の娘

 

セラピスト: Stephen McKinley Henderson スティーヴン・ヘンダーソン

 

ボーが通っているセラピスト。長い付き合いらしい。

 

ジーヴス: Denis Ménochet ドゥニ・メノーシェ

 

エレーヌ/ Parker Posey パーカー・ポージー

 

 

ペネロペ: Hayley Squires ヘイリー・スクワイアーズ

 

少年時代のボー: Armen Nahapetian アルメン・ナハペシャン

 

若き日の母親: Zoe Lister-Jones ゾーイ・リスター=ジョーンズ

 

ボーの〇〇 …*ネタバレなるので伏せておきますが、気になる人は【Lyraの感想&解説】あとの下の方に書いておきますね : Michael Gandolfini マイケル・ガンドルフィーニ

 

Dr.Cohan コーハン博士: Richard Kind リチャード・カインド

Staff

監督・脚本:Ari Aster アリ・アスター

 

プロデューサー: Lars Knudsen & Ari Aster

エディター:  Lucian Johnston</strong

音楽:Bobby Krlic 

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4.詳しいあらすじ: 前編

*ネタバレ無し

 

ボー・ワッサーマンは、長年通院しているカウンセリングをしている。そしてセラピストは、診察後「たくさんの水と一緒に飲んで」とボーに言うと薬を処方し渡した。

薬を飲みボーは家に帰るが、隣に住む住人が爆音で音楽を聞いているせいで一睡も出来ず、翌日は父親の命日だったのにも関わらず、飛行機に乗り遅れてしまった。ボーは必死になって荷物を持って実家に向かおうとするが、鍵をドアに刺したままにしていたら、それを誰かに盗まれてしまった。

飛行機に乗れず、ボーは母親に電話して事情を説明する。だが母親モナは彼を信用せず、ただ会いたくないのだろうとボーを疑い電話を切ってしまう。

ボーは、里帰りの心配はなくなっだが、今度は、鍵を盗まれたせいで泥棒がいつ何時、襲ってくるかもしれない、と不安に苛まれてしまう。そしてついていないことに、水道が止まってしまい益々慌てふためくボー。

慌てたボーはカウンセラーからもらった薬を水無しで飲んでしまい、水を買いに外へ出ると、その拍子にホームレスにマンションを占拠されてしまう。

すると外装工事の骨組みをしているのを発見したボーは、仕方なく上って行きそこで一晩過ごす。

翌朝、マンションの部屋に戻ったボーは、再度、母親に電話を掛けると、UPSの運転手が出て、モナが自宅で倒れていて、シャンデリアが頭に落ちて死んでいたと伝えて来た。警察には通報したと言っており、ボーは母の死が事実であることを知る。

酷いショックでお風呂に入り、そこに残っていたホームレスと対峙したボーは、叫びながら外に飛び出し、道路にいた殺人鬼に刺され、その上フードトラックに轢かれてしまう。

意識を失くしたボーは、2日後に彼を轢いたトラックの運転手グレースの家で目を覚ます。

母親が亡くなったので急いで母親の家に行かなくてはいけないと訴えるボーに、「身体を治したら連れていく、今は身体を治すように」という、グレースとロジャー夫妻。が、何故か足にGPSアンクレットを着けられてしまうボー。

ロジャーとグレース夫妻の自宅には、娘のニナや、危険な兄ジーブスに出会い奇妙な体験をするが、そのせいで実家に帰る道を阻まれたてしまう。

ボーは、その家も森の旅芸人もぶっちぎり脱出した後も、母親との記憶を想い出しながら彷徨ったボーは道路に出てヒッチハイクをして母親の屋敷に向かっていく。

色々な物に邪魔されたり、奇妙な出来事が次々と起こり、現実なのか妄想なのかも分からないまま、ボーの里帰りはいつしか壮大な旅へと変貌していく。

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5.あらすじ: 後編 *ネタバレ有り

母との思い出を辿りながら、どうにかこうにか実家に戻れたボー。だが、葬儀の後片付けが行われていた。そう、またしてもついていない事に母親の葬儀にも間に合わなかったのだ。

 ボーは実家の中を歩き、フラフラと母親のオフィス部屋に行くと自分の写真が飾られているのを見つけて喪失感で潰されそうになる。そしてそのままボーは、ソファで昼寝をしてしまう。

すると屋敷に女がやってきた。その人の声で目を覚まし見に行くと、かつて片想いをしていたエレインだった。

なんとなくそのような雰囲気になり(笑)、ボーは母親の部屋でエレインと愛し合ってしまう。

初体験だったボーだが、絶頂が来て、母親から言い聞かされて来た父親の死の原因を思い出し「射精したら絶命してしまう!」と恐怖に駆られるが、射精しても生きていた自分に気づき、ホッと安堵する。だが、逆にエレインの方が最中に体が硬直してしまって、ボーが気づかないうちに死んでしまっていた。

驚きでボーは慌てふためき、一気に自分に様々なことが起きたせいで自分を見失いそうになる。

するとそこへ突然、女性が現れた。死んだはずの母親モナだった。

モナはメイド達を呼び、死んだエレインを片付けさせた。

ボーは、モナに対して色々問いただすが、自分がまだ生きてることもあり、隠されて来た父親の真実を教えて欲しいと頼む。だが、モナは怒ってボーを屋根裏部屋に閉じ込めてしまった。 

中は真っ暗。だが、暗闇に誰かがいる。

 

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良く見ると、痩せ衰えた老人がいて、それが双子の弟だとわかる。弟は監禁されていたのだ。そして、その横には、巨大な怪物がいた。それは巨根そのものの物体であり父親だった。

 驚くボー。そこへいきなりジーブスが現れて、巨根怪物を殺そうとするが、逆にジーブスの方が、怪物に殺されてしまった。

 次々起きる恐ろしい真実に、パニック状態になってしまったボーは屋根裏から落下。

そして錯乱状態からボーは、母親の今までの嘘や隠されて来た真実に怒り狂い、母モナをしめ殺してしまった。

ボーは実家の豪邸から出て行き、浜辺でモーターボートを見つけ、それを操縦して洞窟に入っていくが、モーターボートのエンジンが急に止まってしまって困ってしまう。

するといきなりライトが付く。見るとそこは、コロシアムのような場所で、沢山の人間たちがボーを見下ろし取り囲んでいた。

そしてそこで突然、ボーに対する裁判が開始された。

巨大スクリーンにボーが母親モナに話したことが映し出されて行き、周りの聴衆達がボーを責め立てる。ボーは逃げ出そうとするも、下を見ると自分の足がモーターボートに釘付けになっていた。

ボーは釘を取り外してくれ、と叫ぶが誰も聞いてくれない。

ボーは諦めた。もう自分の不幸な運命をどうにもできない…

と、同時に彼が乗っているモーターボートが爆発!

ボーは、モーターボートから脱出出来たものの結局、溺れてしまう…。

6.Lyraの感想【ボーはおそれている BauBeauIsAfraid】

Joker がオズの魔法使いの旅をしたら、Oedipus Wrecksな世界だった!

 

大好きなアリ・アスター作品.監督曰く”ユダヤ人のThe Lord of the Rings”。だが実はJokerがオズの魔法使いの旅をしたら、Oedipus Wrecks(ウッディアレンの映画)の世界だったから笑ってしまったし、不気味な世界だからLyraが好きな映画でした。【ボーはおそれている】は、前2作のヘレディタリーや、ミッドサマーのような完成されたホラーではなく家族と支配の狂気コメディです。まんまホラー期待して見ると肩透かしくらいますので要注意(ラスト屋根裏で貴方は見てはいけない物を見るぞ! )やはり、内容的に継承なのよ、監督は。

日常のささいなことでも不安になってしまう怖がりの男ボーは、つい先ほどまで電話で会話していた母が突然、怪死したことを知る。それが1番怪しいのだが、疑いもせずにボーは、母のもとへ駆けつけようとする。だがアパートの玄関を出ると、そこはもう“いつもの日常”ではなかった。

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だがその日常の状態は、自然災害や誇大広告や嘘が蔓延り、殺人鬼や異常者が平気で町を歩いているこのおかしな現実世界をそのまま描いていると思う。勿論、色鮮やかな映像美は、PopだしTattooだらけ人間やら色々と現れるキャラクター、エキストラまでもが、デフォルメされているとも言える鮮やかさだが、み〜んな普通の人々の役で気を衒っていない。本当にそこら辺にいる普通の人々がふとした瞬間、捻れているのだ。だから、そんなに現実とは離れてはいないと言っていいだろう。

むしろ普通の現実世界をストーリーで描いていて、それを盛り上げるために冒頭でカウンセリングでセラピストから貰った薬を飲んだボーが見ているテクニカラーの世界を画面では映し出していたのだと言える。

その後も奇妙で予想外な出来事が次々と起こり、現実なのか妄想なのかも分からないまま、ボーの里帰りはいつしか壮大な旅へと変貌していくのだが、これは、ボーが見ている薬の世界そのままだからだ。

現実に起きている内容をボーが見ている視覚で描いているから、夢か現実か分からぬ不思議な世界になってしまって見えると言えば納得できるだろう。

 

ドラッグ話なら、現実とラリってる世界の融合

こんなの、夢だったら悪夢だ。行きたいのに行けない、遅刻し続けるボー。足止めまでされてしまう。だがこれ、セラピストの前で話してるだけともとれるから怖すぎる。

まさかのドラッグ漬けならば、起こりうる話。セラピストから薬貰ってそのままソファに座ったままかも?

その証拠に、セラピストに実家に戻ることをボーが告げると、「お母さんが死んでいればいいのにと思う?」と質問される。おかしいだろ、これ(笑)。

ボーは、薬を飲んでカウセリングした建物から出て行く。だが外はおかしいスラムのような街を歩く。

この歩いて行くのが現実ならば、ラリったまま自宅に帰宅して寝過ごして、又、翌朝、薬を飲んで母親の元に向かっているならば、変な人間たちの登場は、ボーが見てる幻覚と事実の融合体になるのだ。

つまりこの映画には、どちらにも取れてしまう地獄絵図が用意されているのだ。

ボーは、ひどい時間を過ごしているだけ

ボーは、酷い時間を過ごしているだけなのだ。その酷いものは、罪悪感によるものだ。セラピストのオフィスで、「みんながあなたに怒っている」「両親は、貴方に非常に失望している」「間違ったことをしている」と非難されるのに、それが何なのかさえ分からない。それは、あなたが心配しているすべてのことがセラピストのオフィスで起こったら罪悪感に押しつぶされるだろう。

あらゆる場面で、最悪なボー。 

私はこのストーリーが大好きだが、多くの人はそうではないだろう。 それでいいのです。 明らかにアリアスター作品は、万人受けする視聴者全員向けではないのだから。

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ボーの特徴

本当に Beau について知りたい場合は、心に留めておくべき主な点が 2 つある。 1つは、タイトルの約束。これはボーという男についての映画であり、彼は恐れているということ。そして、特定の何かを恐れるのではなく、混沌とした多方向の方法で恐れている。

それが外にあると、ボーは、恐れている。

外にあるのは、部屋から出れない自分とは違う多動的な存在だ。それは仕事をバリバリこなし社会を動かす力がある母親であり、動いている社会全体、時が流れて行く自分の生命=人生だ。

【ボーはおそれている】のだ。動いている世界を、そしてこれからの自分の人生を。

ボーが住んでいる場所の治安が悪すぎるし、ドタバタしてるせいで常人の頭である観客は、一瞬、お伽話やら架空のおかしな世界に感じてしまうが、冷静に見たら毎日流れてる狂ったニュースや、巷に溢れている混沌した社会の縮図だ。 

それをワンショットに入れて来るから奇妙に見えてしまうのだ。笑!

落書きだらけの街、毒蜘蛛注意の貼り紙、ナイフを持って人を襲う通り魔。屋上から飛び降りようとする人とそれをスマホで撮る人…私達が住んでる世界じゃないか!

同じような世界に住んでいる神経症のボーだから、鍵を持った強盗が入って来るかも?などと妄想してネガティヴ思考がMaxになる。

だから、現実と妄想が合わさりカオスな世界になってしまうのだ。もうそこには違和感はない。

ボーの人生は崩壊して行くのだ。

もう1つは、これが、ジョセフ・キャンベルによって成文化され、「モノ神話」とも呼ばれる古典的な英雄の旅の物語の、ファンハウスの鏡版であるということ。

通常、主人公の旅は、特定の種類の古典的な物語の物語の原型だ。たとえば、『ロード・オブ・ザ・リング』のオデュッセウスやフロドを思い出して欲しい。英雄は慣れ親しんだ生活から呼び出され、超自然的な力で武装して冒険に乗り出す。

彼は未知の世界への敷居を越え、そこで助け手や指導者、克服しなければならない課題や誘惑に遭遇し、最終的には深淵を見つめて生まれ変わる啓示の瞬間に遭遇するのだ。そして変身した後、彼は自分自身の罪を償わなければならない。

そして贈り物を持って家に帰ることができるのだ。家では、すべてが見慣れたものだが、主人公自身が変わったため、すべてが変わるのだ。

今、彼には生きる自由がある。となるわけだ。

だが、アリ・アスターは、アリ・アスターらしく、すべてを裏返しにした。しかし、おそらく主人公の旅は人間の心の中に組み込まれているというキャンベルの感覚を陽気に補強するものとして、『ボーはこわい』の中にある単一神話の概要を認識することができる。

それが混乱に崩壊する様子が、それをコミトラジカル、または悲劇的なものにしているのがこの【ボーはおそれている Beau Is Afraid】なのだ。面白くてめちゃくちゃだし、それがこの作品を素晴らしいものにしているのだ!

*次に解説&ツッコミポイントにいきましょう。詳しく知りたい方に!

7.Lyraの解説&ツッコミポイント

①親子関係

【ボーはおそれている Beau Is Afraid】の核となるのは、母親モナ・ワッサーマン(ゾーイ・リスター・ジョーンズとパティ・ルポーンがさまざまな年齢で演じている)の一人息子であり、女手一つで彼を育てた実業家のボー・ワッサーマンという、とても迷った魂の物語だ。

彼らの町ワッサートン、この名前からして町自体が母親の息がかかっているとわかる。だが冒頭でそこまで気にして見ている人はいないだろうから、恐怖はあの壁の写真まで引き伸ばし状態になる(笑)。

ボーは幼少期を通じて母親の伴侶だったようなものだ。ボーは、母親の広告にも登場し、彼女の注目をすべて集め、彼女の人生の焦点だった。彼女は彼に危険の世界を提示し、そこで彼女は彼の安全なガイドであり、おそらく彼の唯一の人生の安全なガイドになったのだ。

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親子関係はこれだけではなく、

モナとボー

ボーを車ではねたグレースとロジャー夫妻とトニ、ジーヴス

ボーの双子の弟と父親

この3つの親子関係は、普通な状態ではないけど親が強く子を支配している家族という力関係が共通している。

冒頭でカウンセラーが、「家族とは、死んでほしいと同時に死んでほしくない存在」と話していたが、強く支配されている煩わしさがありながらも、支配されても仕方ないと受け入れられる安心して身を委ねられる存在だからいて欲しい存在なのだろう。

アリ・アスター監督も家族のことを「わずらわしい存在」とインタビューで言っていたことから、大切だけど煩わしい存在として描かれているのだ。

実際にボーがモナの葬儀に行く決心が着いたのは、モナの会社に初恋の人エレインがいたからだ。不純な動機…なければ行かなかったのかも?

つまりボーは、母親ではなく、エレインに会いに行こうとしていたのだ。だから母モナは頭に来たのだ。自分が1番じゃないから。

②Water 水

この映画では、プロットと視覚的な詳細の両方で水がフォーカスされている。これはおそらくホーマーのオデュッセイアが映画に与えた影響にもとずいていると思う。

作品は水の音と映像で開始し閉幕する。それに映画には、バスタブ、噴水、プール、ビーチ、文字通りのクルーズ(船) などが散りばめられているほか、水を暗示するアートワークがいたるところに登場。

そしてボーのセラピストは新しい薬を処方するときに「常に水と一緒に服用してください」という指示を頑固に言い張るではないか!

まさか監督は溺れた経験があったり、自分では分からず水に恐怖心があるのかもしれない。

③予言、サイン

【ヘレディタリー】や【ミッドサマー】ではストーリーのこの先を予知するようにママの手作り人形やパッチワークや織物などに、サインのように描かれていたが、この【ボーは恐れている】では前ほどわかりやすくならないが、おかしなサインがある。

たとえば、「私は自分の手を切断します」と書かれたプラカードを持った女性、機関銃を持った若い男性、必死で子供を探している女性、そして近くのベンチに座っている外科医(血まみれ)など色々ある。

④ MW

「MW」ブランドが何を表しているのかを理解すると恐ろしい。映画全体(文字通りあらゆる場所)でそのロゴをどれほど見たかがわかるだろう。

鋭い目の観客なら、おそらく映画の冒頭で「MW」が「製作」会社としてリストされていることにきづくかも。非常にメタなジョークだ。

モナがボーを支配しようとしていたのは家に帰った時の写真や広告から垣間見ることができる。

一見良い思い出に見えるが、実は異常だ。モナはMW社のCEOであり、それは複数の事業を運営する巨大企業だ。TV、歯ブラシ、薬、レトルト食品から住宅まで、ボーが使うもの全てにMWのロゴがついていた。

つまりこの世界、すべてが母親の息がかかっていることを示す。その証拠にボーのアパートもMWが所有するものだった。

MWのCMが流れるとメッセージは「Perfect Safty」。MW社が掲げるこの理念は全てボーに対してのものだ。

母親の肖像画の中にはMWで働く従業員が写っているが、その中には映画の中に出てきた人間が何名か存在する。

冒頭で出てきた全身タトゥーの男はMWの従業員だった。このことからモナは、従業員も操っていたのだろう。きっとタトゥー男にボーを襲わせることで、外の世界への恐怖をインプットさせたのだ。ボーの自立心をなくすためだ。そして母親の庇護から出さないようにするために。

そして医師のロジャーもMWの従業員だった。彼はボーが母親の元に行くのを引き止めようとした。それは母親がボーの献身的な愛を確かめるための試練を与えるためだろう。

だが不思議なのは、妻のグレースはカップにメモを残したり、チャンネル78を見るように伝えた。これは、グレースが、ボーをモナの支配下から逃がしてやろうとしたのかもしれない。

ならば、この映画は、ボーが母親の支配からの抜け出すための冒険映画なのかもしれない。

エレーヌも同じようにMWの社員だった。しかし、母親の息子がボーだということを知らなかったみたいだった為、ボーが意識した女性をモナの掌中におさめたのかも?

 

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ロジャーの家の監視映像や途中の森で起きた記憶を辿るような旅路。父親、そして最後の裁判まで、現実で起きていることとボーの脳内を組み合わせて映像化しているため、この映画は、事象を事細かに考えていくと、人によっては理解できず意味不明な映画だと感じてしまう恐れがある。

⑤UPS 

 UPSの男は、決して顔を出さないが、実際にはビル・ヘイダーによって演じられていた。 笑顔のビルと最近の通話を表示する携帯電話 エマ・マッキンタイア/フィルムマジック/ゲッティ、A24 ただし、映画の前半で彼がボーと電話で話していた。

⑥実家

興味がある方のために…

 

映画の中のモナの家はセットではなく、モントリオールで偵察された本物の家です。モナの印象的なガラスの家は実在するんですよ。

ちなみに撮影全ても、モントリオールでした。

⑦森

映画の途中で、森の中での劇の中で非常に夢のようなシーンがある。それが一体何なのか疑問に思う人もいるかも?

アスターによれば、「催眠術の下で、彼は劇に入り込み、自分が自分の人生においてもっと積極的なエージェントだったら何が起こるかを想像します。」

ならば、催眠術をかけられたボーが積極的な自分を妄想している画像を私達が見ている、もしくは妄想しながら実家に里帰りして歩いてる彼を私達が見てることになる、どちらにせよ、ボーが見てる脳内の世界を私達は見ているのだ。

このロジャーとグレイスの家から脱出し、森の中をさまよっていると自然で暮らす集団に出会う。

その中で演劇を観ることになるのだが、途中から主人公がボーに変わる。

鎖に繋がれた主人公が鎖を切ると、それはボー自身になっていた。これは鎖=母親からの束縛だ。

母親から自立し、独り立ちしたボーを描いている。つまり、これはボーの願望の妄想の世界だ。

その世界で、ボーは3人の子宝に恵まれる。その生活は楽なものではなかったが、自分の意思で主体的に行動していた。子供と離ればなれになってしまったが、最終的に出会うことができたのもボーが主体的に行動していたからだ。

しかし、3人の子供と再会して、母親について聞かれる。一度も性交渉をしたことがないボーがなぜ子供を持つことができるのか?

そこでボーは現実に引き戻され、逃れられない現実をまた彷徨うのだ。

⑧見た目は普通なロジャー家

ロジャー家は一見普通の家族。だがボーを車ではねて家に連れ帰った後、罪悪感からなのか、献身的にボーの看病をする夫妻がなんとも不気味だ。

大体、娘がいるのにも関わらず、死んだ息子の戦友であるジーヴスのことを世話していたり、男の子に対して固執している感が否めない。もしかしたら死んだ息子を自分達より下の男性たちに求めているのか?だったら怖いし、監禁だろ!となる。

普通が怖いとは!

ただ世の中、普通の家族と周りが思っていた一家に限って惨殺事件が起きたりしている昨今だから全く違和感がないとも言える。だから真理をついているのだ。

実際に娘のトニは、自分の部屋をボーに奪われただけでなく、自分への愛もボーに奪われたと感じてペンキを一気飲みして自殺してしまった。

また精神を病んでいるジービスも、薬の力でロジャーとグレースに支配されているみたいでボーが、モナにやられてる姿と重なるではないか!

だいたい、足にGPSつけるのはおかしい。それに” 未来を映し出した録画映像は、あれはモナに命令されてロジャー家が撮影した?だってロジャー達は、モナの会社の社員だから。

*より詳しく次の2ページ目へ→

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