
閉鎖されたような山間の集落で幼い頃から一緒に育ってきた同い年のよしきと光。
この2人の友情以上、恋愛未満の誰よりも深い関係性が、異常な日常でどうなって行くかが見もののホラーでありサスペンスであり恋愛のような不思議な漫画が【光が死んだ夏】です。
それをアニメ化した作品が今年7月から放映されています。
炎天下の下、よしきと光はいつものように話してながら下校途中の駄菓子屋で食べるアイスが溶けて行くように現実世界が歪み溶けて行く。
「……お前、やっぱ光ちゃうやろ」
よしきが、最近、感じてる違和感を光に聞いた時から、他愛もない日常が暑い太陽に熱せられるかのように溶けて行くのです。
Oasis 再結成ライブに行ったりバカンスに行っていて書くのが遅くなりましたが、漫画を読んでハマっていた【光が死んだ夏】のアニメ版が完成度が高すぎるので、あらすじ解説感想を詳しく書きました。
そして【光が死んだ夏】に表現されるブロマンスについても詳しく解説して行くので楽しんでくださいね!
今日Lyraが紹介するのは、『光が死んだ夏』(ひかるがしんだなつ)は、モクモクれんによる日本の漫画作品【光が死んだ夏】です。
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【光が死んだ夏】概要
『ヤングエースUP』(KADOKAWA)にて、2021年8月31日から連載されている漫画です。作者のモクモクれんは本作が初の連載作品。
三重県の山間部の集落で生活する少年 辻中佳紀(よしき)と、半年前,山で行方不明になり戻ってきた親友、忌堂光(ヒカル)の後の様子に違和感があると気づき、中身に入っている何かに怯えながらも、光を失った悲しさから、よしきは、その代わりとしてヒカルを受け入れてしまいます。
葛藤しながらヒカルとの日常を過ごすよしきと、村で起こる不可解な出来事が描かれた異色の青春ホラー物語です。
「……お前、やっぱ光ちゃうやろ」とよしきが聞くと,バレたと知り動揺する光の顔の半分が溶け出して行く。
それでも「光はもうおらんのや……それやったら」と思いながら「いないよりマシ」と元の生活に戻ろうとするよしき…。
友人の姿をした〝ナニカ〟
“いつもと変わらない”日常
だが、時を同じくして
奇怪な事件が集落を襲い始める
未知の〝ナニカ〟へ墜ちていく青春ホラー物語。
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ヒカルが死んだ夏 第1話『代替品』あらすじ
2025年7月5日放送。
「光〜!」
真っ暗闇の山の中で武田のおっさんや三笠のおじさんたちの声が響き渡る。
よしきは一心不乱に山中を、懐中電灯で照らしながら走る。雷が鳴り雨が降り出した。
「よ、よしき」
光るのか細い呻き声…だが誰にも聞こえない。
光「ウヌキ様?」
アメーバのような蠢くナニカに光は,手を伸ばし包まれた。
2020年7月–
菓子屋(雑貨屋)の店先でパピっコ(アイス)を分け合う光とよしき。いつもの夏の午後。
そのありふれた日常をよしきの一言が変えてしまう。
「やっぱ、お前…光ちゃうやろ?」。
よしきに聞かれて固まってしまう光。
「な、何で?…
完璧に模倣したはずやのに…」
と言うと光の左半分の顔がドロリと溶け出し、アメーバみたいな得体の知れぬ物体が流れ出て来てうごめいた。
そしてウネウネとよしきの目の前に近づいた。

光「お願い,黙っといて。初めて人間として生きたんや」と言い抱きついた。左半分がよしきを見つめてるようにうねっている。
「お願いだ,お前を殺したない」
そう言いながら強く抱きしめてくるヒカルに怯えながらもよしきは、「ヒカルはどっちみちおらんのなら、何でも良いからそばにいて欲しい」と思い、
「わかった、ヒカルよろしくな」と答えてしまった。
また他愛もない話をして高校へ行く毎日を送る2人。
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その頃村内のあるアパートにハムスターのケージを持つサングラスの男が現れた。
「会社から派遣された田中です」とニヤッと笑った。
室内に入るとびびって腰を抜かす夫婦が奥の部屋を見ている。田中は中に入り「怪しいのはそこっすね」と笑いながら見ると子供のケガレが押入れの壁にいた。田中は鉄の棒で壁を壊しケガレを退治した。
会社に処理報告する田中。「アレに関するものはありませんでしたよ。しかし会社も凝りないスっよね〜何百年も探し回って…よく形骸化しないよな」と電話の相手,佐藤に言うと佐藤はムッとして
「会社の悪口はやめてください。上に漏れますよ」と言う
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高校では理科の授業がなくなり映画鑑賞になっていた。皆んな退屈してる中,ヒカルだけが泣いている。よしきが5回も見た事がある映画なのになんで泣くのか聞くとヒカルは、
「見た記憶はあんねん。でも俺が見るのは初めてやし…」と泣いている。
帰り道にいつものメンチカツ食べると異常に美味いと喜んで叫ぶヒカル。
不思議がるよしきに「記憶には合っても実感がわかなくて…生きるのも、そもそも自我持ったの初めてやし」と答えるヒカル
よしき「幽霊なんか?」と引いてしまう。
そこへ野良猫のメンチ兄貴がやって来たのでよしきがいつものように撫でてやると猫撫で声をだしてすり寄った。それを見てヒカルもメンチ兄貴を撫でようとすると,兄貴は「シャアー!」とヒカルを威嚇し走り去った。
ヒカルは鈍臭いはずのメンチ兄貴が、足の速いのに驚く。
よしきはヒカルに行きたいところはないか尋ねるとヒカル「よしき優しいなあ、こんな俺にも」と言う。
よしきは「優しいんやない。自分に甘いやつほど他人を許すんよ」と暗い顔で答えた。
2人は寄り道を続行。自転車で道を突っ走ると,そこにたまたまたい焼きを買いに来た暮林という主婦が、恐怖で驚き慄く。ヒカルが通り過ぎた時に彼が人間ではないと気付いたのだった。
ふざけてるヒカルを見ながらよしきは、「コイツなんなん?ヒカルやのに中身は光ではない何か?」
ヒカル「よしき〜待ってや!」
よしき「狂っとる。それを受け入れてる俺も怖い。怖い,怖い,怖い。普通になんね、あれ、勘弁してくれ…俺、きっしょ、きっしょ」と後ろにヒカルがいるのに、恐怖で押しつぶされそうになる。
だが結局はまた「なんでも良いからそばにいて」と言う寂しさから今の状況を受け入れてしまうよしき。
漫画をよしきの家で読みたいと言い出すヒカルと自転車を押しながら話していると、
「ああ、な、何で、うわ、うわ〜」と近所に住んでる松浦の婆さんが慌てふためいて2人の前に立ちすくんでいた。
「ノウヌキサマが山から降りて来てるやないか!」と唾を飛ばして喚き散らす松浦の婆さん。

よしき達は、関わらぬように無視して通り過ぎようとすると
「こっちに来るな、去ぬ〜!」と叫ぶと走って家の中へと逃げて行った松浦の婆さん。それをヒカルがジッと黙って見つめていた…赤い目をして。
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よしき「なあ、もう光は死んでもうとるん?」
ヒカル「うん。脈や体温はあるけどな」
よしきはヒカルが殺したのか不安で聞くとヒカルは、もう虫の息だった光をたまたま見つけて気がついたら,体に入っていたと否定した。
「長い間彷徨っていて何も感じなくて機械みたいだったんよ。そしたら光が死にかけていて気付いたらこうなってん」と言うヒカル。
よしきの家の前についた。よしきはヒカルに背を向けたまま「俺のこと好き?」と聞く。
蝉の声が遠くで聞こえる…夕焼け空のオレンジ色に染まった顔を更に赤てヒカルは答えた。
「好き…めっちゃ好き」
よしきは心の中で(前はそんなこと絶対言わんかったな…)
よしき「やったらもう黙って消えんといてな」と言って玄関のガラス戸を閉めて家の中に入った。
夕焼け空が広がり過ぎてまるで,村は、血のように真っ赤になっている。
夜になり登校拒否のよしきの妹について、両親がまた口喧嘩をしてる。
よしきはベッドの上でそれをやり過ごすかのように横たわっている。
その頃,体をアメーバが張ってるような何者かが村の道を歩いていた。その物体は、よろよろとある家の前で立ち止まる。そして、
「松浦さ〜ん、松浦さ〜ん、宅急便ですよ!あれ〜お留守かなあ〜?」と松浦の婆さん家のドアを叩きだした。
松浦「来るな,来るな…あ,開けんぞ〜!こんな夜中に来るわけがねぇ」
「松浦さ〜ん、松浦さ〜ん…」と何回も何回も名前を呼ぶ誰か。
松浦の婆さん「ひい〜」と玄関に座り込み毛布を被ってる婆さん。
すると声がピタリとやんだ。
ヒカル「もう入ってますよ」
驚いて後ろを振り返る松浦の婆さんは,恐怖で口を開けた…
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よしき「おやすみ、ヒカル…」そういうとベッドの上で眠り入るよしきをよそに、村にはパトカーのサイレンが鳴っていた。
警察車両が何台も松浦の婆さんの家の前に止まってる。
松浦「母で間違い無いです…な,何で」と娘であろう女性が啜り泣く。
それを知ってか、村の片隅では、武田の爺さんが「次は俺や…ノウヌキサマが来る…」と頭を掻きむしっていた。
そして、松浦の婆さん宅の前では、
三笠「やっぱり忌堂の儀式は失敗しとったんや。どうする武田?」と男2人が警察が右往左往するのを見ていた。
田中は電話で仕事の依頼を受けていた。電話の相手は武田だ。
田中「クビタチは陰気臭いから行きたく無いんだよな〜。まあ、アレは村人が考えてるほど簡単な仕事じゃ無いんですけど」
Lyraの解説&感想『代替品』
①愛とリアルさ
ホラー大好き人間のLyraなので、かなりの興味を持って(表紙は逆に可愛いくてシンプルな所もギャップありで良くて)この原作を随分前に読んだのですが、この作品は、怨霊や幽霊ネタを扱ってはいるけれど、根っこの部分は、恋愛と友情と家族愛の間を揺れ動く少年たちの愛の物語だと感じていました。
このアニメは、それを素晴らしい完成度で再現していて、今回の第1話のように原作の1話と2話をまとめたストーリーや、プラスお話の全体の内容を風景やフラッシュバックでチラ見せする新たな技法も使っていて、昔から知ってるファンも初めて見る人も惹きつける面白い作風も持っている非常に手の込んだアニメになっています。
おまけにTVのアニメなのに「映画ですか?」と言いたくなるほど手の込んだ風景画の造り込みが凄くてLyraは思わずスゴーイと唸ってしまいましたよ。

美しい田舎の昭和のような昔っぽい日本の田園風景と、夏の熱いセミが忙しなく鳴いてる世界線が、気だるくてあまりにもリアルで驚かされました。まさに狂気に満ちたホラーの内容にピッタリ過ぎて原作の再現度が高過ぎる!
その造り込みの素晴らしさのお陰で、絶対にありえない設定を、「ありえるかも」と思わせてしまうリアリティさを生み出しているのと同時に、よしきとヒカルがいるクビタチ村の閉鎖感が分かり息苦しさを感じてしまうほどです。

あんな狭くて森が生い茂る山々がのしかかるような村だと絶対なんか起きてしまいそう!
そして村人がほぼ知り合いみたいな狭い世界で高校生という余計に閉鎖された学校を舞台にもしてるために,よしきの病んでいく姿が痛いほどわかるようになっていますね。
そのよしきが、光にぶつけてしまった疑問のせいで、恐るべき事実を知ってしまい、友情にヒビが入りそうなのに普段どおりに生活しようとするふたり。その痛々しい姿に、胸を締め付けられました。
そのやり過ごそうとする2人の男子たちの周囲で奇怪な事件が勃発。それが、この第1話『代替え品』なのです。
②捜索:よりサスペンス風に
この1話は、オープニングが原作漫画と全く違います。こちらは、よしきや村のおじさんたちが光を探してるシーンからなのですが、原作マンガは,真夜中の捜索はなく、ただ夏の暑う日に2人の高校生が世間話をしていて、いきなり何が何だかわからないままに「アイス食べながら顔が溶ける光」の様子が描かれる原作とは違います。でもこの違いがより事件性バッチリでハラハラするサスペンスドラマのような効果を生みだしていたので、とても新鮮でした。
捜索の途中、光と間違えてよしきが照らした木が女性の裸体みたいで不気味で,ゾーとしましたが、これにより「この森や山は、ただの山ではないな」とわかる瞬間でしたね。
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③光とヒカル,違い
よしきは、幼い時から光ると始終一緒にいたためにまるで兄弟の様に育ちました。だから親でも分からない様な細か〜いところまで知っていて、ちょっとした違和感ですら気づいてしまうのです。
違和感その一: イントネーション
それは、初めの方でのたわいもない会話で起きました。ヒカルの「拷問」という時の言葉のイントネーションが地元のものではないときづいてしまいまったこと。
この【光が死んだ夏】は、三重県の山間部が舞台になっています。狭い田舎の村の方言ですから、他の地域よりかなり特徴的で訛っているのです。
この先、回を重ねるごとにヒカルは自分のことを話して行きますが、ヒカル自身は、死んだ(寄生した)光の記憶があります。だからそれを真似して学生生活を難なく送って行くのですが、やはり彼を知るよしきなどには、完璧に模倣したつもりでもバレてしまうのです。
特にその土地独自の言葉のイントネーションの僅かなズレまでは再現しきれなかった…だからよしきは気づき、ほんの少しのズレが、2人の関係に決定的な亀裂を入れることになったのです。
よしきに真実を知られて、光の体を乗っ取った何かは、左半分の顔からアメーバのような液体状の物体を流し出し泣きながらよしきに頼むのです。
ヒカル「なんでや?完璧に模倣したはずやのに…お願いや。誰にも言わんといて」
何気ない日常が壊れていく恐怖に思わず背筋がゾッと寒くなりました。
違和感そのニ: 感情表現
そして更に生前の光との違う点は感情の表し方でしょう。
よしきは自宅に着き、別れ際「お前、俺のこと好きか?」といきなりヒカルに聞きました。
ヒカルは「好きや。めっちゃ好き」とストレートに言いました。
それを聞き、よしきは、涙を流しながら呟きました…
「前はそんなんこと、一言も言わんかったな」
このセリフにより、ヒカルが、今まで一緒に育って来た光ではないことに、よしきが確信した瞬間だとわかります。
そして得体が知れないヒカルは、本物の光よりも自分に純粋な好意があることも分かったために
「やったらもう、勝手におらん事ならんといてね」
と異生物であるヒカルを受け入れたことになりました。
ヒカルのよしきへのストレートな愛情表現。これは、人間の複雑な感情がまだ分かっていない純粋な生物である証でしょう。まるで就学前の成長過程の子供のようです。
この自分へのストレートな愛情を注いでくれる純粋なヒカルだから、独りぼっちのよしきのぽっかり空いた心に入り込み、彼自身をヒカルへ執着していくように仕向けた要因なのでしょう。
④孤独なよしき

よしきは独りぼっちです。はっきり言ってよしきが、普通の高校生活を送っている男子ならば、普通の生活を送れる幸せがあれば、ヒカルのこの「誰にも言わんといて」と言う懇願を受け入れることはなかったでしょう。
この1話を見て分かる様に普通の高校生の生活を送っているように見えるよしきですが、家庭環境が良くなく親子関係など亀裂が入っていて相談する様な相手がいません。妹が何かのきっかけで不登校になっていて、両親は、妹のことで毎晩喧嘩をしています。またそれを小さな村の人々が熟知していて,翌朝言いに来たり、よしきに会うと妹のことを聞いたり,わざわざ詮索するような監視されてる様な環境!
この様な環境では、Lyraには息苦しくて生きていけませんが、よしきは高校生であり雁字搦めな中で、毎晩、親の大喧嘩を聞かない様にしてただやり過ごすことしかできないのです。その上、しつこく家庭環境を詮索してくる村人達もやり過ごさなあかん!と言う劣悪な環境。
だから冒頭でよしきは、
「誰でも良いからそばに」と心の中で叫んでしまったのです。この言葉は、光もこの話の数話先で同じように言っていたので、「ああ、この類似性が、ヒカルにしてるナニカを呼びこみ一体化してしまい、また,よしきとも同調しているのだな」と感じました。
この1話は、原作漫画の1話と2話を合体させています。この先の2話から先も、漫画とはまた違った見せ方で、ヒントやヒカルの隠し謎ときが出てくるでしょうね。
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⑤田中は何者か?
田中は,会社に頼まれて仕事をしてる。その会社が何なのかは、まだ出てきません。これから先に出てくる主婦がいるのですが、その人も,この会社を知ってるんですよね〜、その界隈では有名らしい。
おまけにこの会社は、何百年も何かを探していて、それを田中はメインで探していて他のはただの小銭稼ぎみたい…この会社が探す何かとはなんだろう?けがれか?
それは、ヒカルとも関係がありそうです。
そして佐藤は何者なのか?
ただの霊感が強いだけの霊媒師ではないのは確かです。
⑥ガンニバルの供花村みたいなクビタチ村
近所の人が、「よしき、夜遅くまで電気ついとったで?夜遅く何してたん」て,わざわざ朝早くから聞きにくるのがもう不気味すぎる!
田舎に生まれてないからわかりませんが(これが田舎アルアルなら仕方ないのかも知れませんが)、Lyraからしたらこの村の人達全員が、よしきの家族を監視してるみたいに見えて「この村はガンニバルの供花村じゃ!」とビビって背筋がゾワッとしましたよ。
*ガンニバルは、こちらなど→ドラマ漫画【ガンニバル】ネタバレ全話あらすじ解説 第1〜第7話・1〜13巻 完全保存版
このような狭くて人々に監視されてる様な世界では、息苦しくて病むしかない。だから、よしきの暗い表情は更に暗くなり、ヒカルが得体が知れない生き物でも自分を理解してくれる相手として執着し必要なのでしょう。
⑦ヒカルはAIみたいなもの
人間の光は既に死んでいて、新しい何かが入り込んでるのだが、どうやら昔の記憶はあるらしい。そして記憶はあるのだが,寄生してから体験したことは新しい経験なわけだから感動して涙を流したり慣れしたしんだ味を新鮮に味わって大袈裟に喜ぶのだ。
ヒカルの異常性は、その後の言動でもあり、
母親が買ってきたスイカを食べて「あれ、旨いなあ!」と初めて食べた人みたいに言うし、学校の次週で見た映画を何回も見て他の生徒があくびしてる中、ヒカルは大号泣。よしきに何故か聞かれて、「記憶にはあるけど、俺は初めて見たやつやから」と答えるから、明らかに別人なのです。
きっとヒカルは、光の記憶を保持してるけど、体験していないから感情や味覚といった感覚は今までないため、全て新しいものなのです。ある意味,彼の中は、まだ空っぽ。
ヒカルは、光の人生を追体験し同時に「初めて人として生きる」感動を味わっていてたくさんの情報を取り込んで学習するAIみたいなものなのです。余計に怖くなりますね。
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⑧ヒカルを見破る動物や霊感が強い人間
ヒカルの異質さ,異常さは、普通の人にはわかりません。でも人間以外の生き物や、感覚の鋭い人間にはわかるようです。
例えば、よしきに懐いていた野良猫は、ヒカルが触れようとした瞬間にシャー!と威嚇し、逃げ去りました。
猫の本能が、ヒカルが人間ではない何かだと察知したのです。
そして夕暮れの道で松浦の婆さんは、ヒカルを見るなり、この世の終わりを見たかのように絶叫
「何でや!?ノウヌキ様が山から下りてきとるやないかあ!」と叫びました。
そしてラストの暮林も、暮林は何故霊感あるのか?生まれつきなのでしょうけど,あまりにも強すぎるのでなぜあそこまでなったか気になります。
⑨引導の儀式とは?
終わりで武田は,松浦の婆さんの変死を知り、「やっぱり引導の儀式は失敗しとったか」と恐怖に襲われた顔をしました。
これは、光の死によって儀式が失敗し、山に封じられていたノウヌキ様が里に下りてきてしまった、と彼らが考えているのです。村の安寧は、忌堂家の誰かを犠牲にする儀式によって保たれていたのがわかるシーンです。
因みに「引導」とは仏教用語で、死者を迷いの世界から悟りの世界(浄土)へ導くための儀式のこと。しかし、この村では他の意味がありそうです。光の苗字が「忌堂」であることも、この儀式との深い関わりがあるのを意味していますね。

⑩ブロマンスの香りする2人の関係
怨霊か汚れか異生物か?というヒカルの存在や、これから2人に襲いかかる汚れ達が怖いホラーというのがこの【光が死んだ夏】の表向きの怖さではありますが、その上を行くミステリアスな店が、得体の知れぬ化け物のヒカルを受け入れたよしきの心理です。
きしょい,きしょい,受け入れた自分をキモがるよしきですが、異生物のヒカルを知っていながら、抱きしめられて
「どちらにせよ光はもうおらんのや。それやったらにせもんでも傍にいて欲しい」と思うのです。
これ、まるで恋愛のようにも感じてしまう強い愛ですよね?
両親が大喧嘩してる上の部屋の自室で、よしきは寝っ転がって動かない…ベッドの上には錠剤。
それに畳み掛けるように松浦の婆さんがヒカルに襲われている…もしかしたらこのシーンは、よしきには何者かが松浦の婆さんを襲っているのを感じていたのかもしれません。
その直後「もう入ってますよ」とヒカルが言う…万が一,よしきがこれを感知していたとしたら、ここまで分かっているのに、まだヒカルを受け入れるなんて常軌を逸脱しています。
これにより、よしきが沼のように深い孤独から逃れられず、化け物さえ必要としてしまう精神的異常性を表現しているのでしょう。
それは光を愛していたからでしょう。
閉鎖された空間=村ということや、幼少期に引っ越してきた故のよそ者感、色々な要因から光は、幼馴染みであり,親友であり、疎外感により家族や兄弟みたいな大切な存在だったのです。
そして自分のそばに必ずいてくれる愛しい人でもあったはずです。数話先の中でも2人の会話は恋愛のようなもどかしいセリフが出てきますが、このような2人の関係から、この物語は、ブロマンスと言わざるおえません。
事実、ブロマンスの代表的な話として話題にもなっています。よしきとヒカルの関係は、濃密です。
かと言って恋愛としては恋愛にあるような行動はありません。だからといってただの友情としては濃密であり、「相手がいないと生きていけない」という切実なものです。
これをソウルメイトとしても言えます。自分の片割れのような存在です。
2人だけで閉鎖的な世界を生きてきた光とよしきには、片方がいなくなってしまったら生きていけないのです。
そしてなぜか、光の体を乗っとったヒカルにも、ヒカルが体内にはいないのに「よしきへの愛」が残っていたのです。
よしきは、得体の知れぬヒカルに、失った光と、昔は手に入らなかった自分へのストレートな愛情を得て、それに依存→執着していくのです。
友達以上恋人未満とでも言える愛でしょう。男子高校生という大人と子供の狭間。
だからこそ純粋で、危うい。
見てる人は、2人の純粋で儚い感情の揺れ動きに,自分のあの暑い夏の青春時代に感じたほろ苦い愛の日々を思い出すでしょう。
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*ブロマンスについて
ブロマンスとは何か知らない方に解説しますと、ブロマンスは、「Brother(兄弟)」と「Romance(ロマンス)」の造語です。
これは人気のある分野であるBLとは違います。ブロマンスは、性的な関わりを含まない,男性同士の非常に特別な友情や絆を意味します。
定義としては,恋愛感情はなくても互いを認め合い魂の奥深いところで結びつく唯一無二の関係をいいます。
この造語は、2000年代、スケートボード雑誌「Big Brother」の編集者デイヴ・カーニーが「四六時中一緒にスケートボードをしているような関係」を表現するために作った言葉とされています。現在では、精神的につながりの深い男性同士の友情を表す言葉として広く使われるようになったのです。
*ブロマンスとBLとの違い
ここでより分かりやすくするために、ブロマンスと今,人気のあるBL(ボーイズラブ)との違いをまとめておきますね。
- BL(ボーイズラブ)男性同士の恋愛や性的な関係を題材にしたジャンル
兄弟よりも深く、唯一無二の特別な関係性を強調。先程,説明したようにソウルメイトとも言えます。
同じ趣味や目標、苦難などを通して頻繁に交流し、深く信頼し合う関係。
映画、小説、漫画、ドラマなど、様々な作品のジャンルとして取り上げられ、視聴者の共感を呼んでいます。
例えば
漫画:『魔道祖師』、『BANANA FISH』、『さんかく窓の外側は夜』。
その他:お笑いコンビの「チュートリアル」の学生時代の関係も、ブロマンスの例として挙げられてるそうです。
この【光が死んだ夏】もブロマンスの代表的な漫画とのちのち言われるようになると思います。
【光が死んだ夏】まとめ

高校を舞台としたホラー漫画,サスペンス漫画として話題になっている【光が死んだ夏】ですが、実際は、友情や愛の物語でありブロマンスを感じさせる濃密なラブサスペンスと言える作品なのです。
「どちらにせよ光はもうおらんのや」
この何回も出てくるよしきのセリフが全てを物語っています。
よしきには、光は、この息苦しい狭い村の中で唯一の救いでした。その光を失うくらいなら、「偽物でもいいからそばにいてくれ」と思ってしまうのです‥なんて切なくて悲しいのでしょう。
その捻れた願いが、ヒカルを受け入れてしまう理由であり、これから起きる数々の事件のの共犯者となってしまうのです。
その感情は、簡単には説明できないよしきの生い立ちによるもの。
アニメは原作以上にこの狂気を増長させ,恐ろしい恐怖に見るものを陥れます。
よしきに正体がバレたとわかり、顔の半分が溶けてアメーバみたいになるヒカルのリアルな怖さや,よしきや武田たちが夜中に光を捜索する時の森の異様さや、松浦の婆さんがヒカルらしき者に殺される時の狂気の場面は、漫画よりリアルで怖すぎ!
そして狭苦しい小さな世界である村の異様さや美しい山々の風景、何気ない自転車を押しながら帰る畦道や駄菓子屋は、よりこの世界が現実のように感じましたね。
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漫画の第1話と第2話が合体したストーリーは、オリジナルカットも伴い新鮮でした。そのためキャラクターも原作より多くて、ヒカルの正体やクビタチ村の因習などに関する伏線も登場。ますます謎が謎を呼ぶ作り!
会社から派遣されてきた謎の男・田中。その会社が何百年も探し回っているという何かとは、ヒカルなのか?
たい焼き屋でヒカルとすれ違っただけの主婦、暮林理恵は、何故、感じ取ったのか?
それに同級生・山岸朝子もヒカルを見て何かに気づきました?何故,パワーがあるのか?
おまけに、松浦の婆さんが殺されるシーンで、なぜか、女児が行方不明になった事件の新聞記事がうつりました!「のうぬきさま」に怯える老人や「忌堂の儀式が失敗した」と話す武田のおっさん達や、光の苗字である「忌堂」がなぜついたのか?
よしきの記憶に残る最後の光は「山に行く」といき姿を消した…どうやら「忌堂の儀式」のため山に入ったようですが、何の儀式だったのか?
そして息の根だったとしても光の身体を乗っ取った何かは、村で畏れられる「ノウヌキ様」なのか?
このような疑問が湧き出し、これからのストーリーに目が離せませんね。話の中でよしきがヒカルに聞かれて説明していたことが,ヒカルを言い表してるようでLyraは凄く気になりました。
「ナツアカネとアキアカネ、見た目はそっくりだが中身は違う…」これはヒカルのことなのです。
原作の中で語られる「ノウヌキ様」=「落とし子」と呼ばれる異次元の存在なのかという疑問も湧いてきます。
そして、友情以上であり、恋愛感情未満の魂の片割れを求める歪んだ愛は、この先どうなっていくのか?
切なくて胸が苦しくなる愛にも似たブロマンス。2人の高校生の気怠くて暑い夏は、いつまで続くのか?
秋が来る前に2人はどうなってしまうのか…
ラストまで瞬きしないで見続けたいですね!
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Cast
辻中佳紀:小林千晃
ヒカル:梅田修一朗
山岸朝子:花守ゆみり
暮林理恵:小若和郁那
田中:小林親弘
巻ゆうた:中島ヨシキ
田所結希:若山詩音
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