【アドレセンス Adolescence】シーズン1【全4話】ネタバレ 詳しいあらすじ 解説 感想

何年も前に見た某映画の出だしと丸っ切り同じ…それに主人公がまだ13歳という幼い男子が容疑者という設定も同じだから同じ展開を予想していたら…子供主体の話に見えてもっとも〜っと深い深い家族の話だと感じました。

世間的にはタイトルのせいもあり青春物が絡んだ犯罪ドラマと思われていますが違います。深く根っこに淀んだ世界、そしてネットの怖さ。

今日は公開されたばかりの【アドレセンス Adolesce】をあらすじ感想解説をします。このLyraのあらすじ解説を見れば【アドレセンス】の内容が丸分かりになりますが、インセルについて解説したり詳しく書いているので、自分自身の人間関係まで改めて考えてしまうかもしれません。

【アドレセンス】とは

『アドレセンス』は、2025年3月13日公開された、ジャック・ソーンとスティーブン・グラハムが企画しフィリップ・バランティーニが監督したイギリスの犯罪ドラマテレビミニシリーズです。

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女子クラスメイトの殺人容疑で逮捕されたジェイミー・ミラー(オーウェン・クーパー)という13歳の男子生徒を中心に描かれています。全4話のエピソードは、すべてワンテイクの連続撮影で撮影されたので、このことも話題になっている一つの要因でしょう。

ある日突然、ミラー家の玄関を押し破り突入してきた察。

逮捕されたのはまだ10代のジェイミーだった。取り調べを受けることになり、ジェイミーは何もしていないと主張するが…

Adolescence is a 2025 British crime drama television mini-series created by Jack Thorne and Stephen Graham and directed by Philip Barantini. It centres on a 13-year-old schoolboy named Jamie Miller (Owen Cooper) who is arrested for the murder of a female classmate. Each of its four episodes was shot in one continuous take.

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【アドレセンス】あらすじ

第1話 Episode1

早朝。まだ町が動き出していない住宅街で、ルーク・バスコム警部とミシャ・フランク警部補が、ミラー家の自宅に警察の急襲を仕掛けた。

ミラー家は、父親のエディ、母親のマンダ、娘のリサ、13歳の息子ジェイミーの4人家族。何台もの警察のバンが駆けつけ機動隊が出るような家ではない、ごく普通の家族だ。

彼らは殺人容疑でジェイミーを逮捕し、近くの警察署に連行。ジェイミーは涙ながらに、家族が警察署に到着するまで拘置所に連行され、その間中「僕は何もしていない!」と父親や刑事たちに無実を訴える。

エディはジェイミーの「適切な大人」として、捜索と尋問の間、ジェイミーと一緒にいることに同意する。エディはジェイミーに個人的に犯罪を犯したかどうかを尋ね、息子の「やってない」という否定を信じる。

バスコムは、ジェイミーの代理人に任命された弁護士ポール・バーロウと衝突する。エディはジェイミーが全裸検査を受けるのを止めたが裁判の不利になると弁護士に言われ仕方なく承諾し、息子が脱がされて点検されるのを苦しそうに見守る。

バスコムとフランクはジェイミーに尋問し、話題はすぐにジェイミーの性的関係に移り、ジェイミーがソーシャルメディアで女性モデルについて性的に露骨なコメントを何度かしていたことが明らかになる。

それから彼は、学校で同じ学年で殺害された少女、ケイティ・レナードについて尋問される。バーロウは、何かを話し合うために休憩を提案するが、エディは息子に隠し事はないとやましいことがないことを主張し息子の尋問を続行させた。

バスコムは、前日の夕方、ジェイミーが駐車場でケイティを刺殺する監視カメラの映像を二人に見せる。

バスコムが尋問を終えると、弁護士は気を遣ったのか(監視カメラ映像が酷くて、この場にいるのがバツが悪くて退席したようにも見える)退席し親子2人だけにする。

ジェイミーとエディは尋問室で泣き、ジェイミーがエディに触れるとエディは一瞬身を引き息子を避ける…が、その後二人はしっかりと抱き合い泣いた。

第1話Lyraの感想 (*詳しい解説は最後の方に書いています)

2025年3月13日放送開始から一気に視聴率が上がったのこの【アドレセンス】。出たし数分、のんびりしていて緊張感全くゼロ。フランク巡査部長(フェイ・マーセイ) とパスコム警部補(アシュリー・ウォルターズ)が覆面パトカーの車内で、朝ご飯代わりのりんごの話してるだけなのだが、無線で「突入の準備ができたけど、どうする?」と連絡が来て「じゃ、行くぞ」と答えた途端、警察のバンやパトカーが何台も走り出し、バンから機動隊がライフル構えてイギリスらしい一般住宅のドアを蹴破って突入しだすから目が離せなくなる。うまい手法だ。

あとになって考えると「普通の事件ではなく重い事件なのはわかるが、ここまで警官出してやるか?」と疑問に思ったが深読みすれば(後の方で詳しく書いておきました )「あれ絡みだとおもわれていたのか?」と考えればわからなくもない。まあ、少年てだけを考えるとあの3分の1の車と警官で充分なはずでやり過ぎな対応がツッコミポイントだ。

装甲車から機動隊が何人も降りて来てドアを蹴破って突入、カメラはその警官達を追いかけて2階へ上がり、ジェイミーが寝ている子供部屋まで確保しに行く…この全てがワンテイクでとられていて、これが全ストーリー、全4話のラストまでワンテイクというのだから緊迫感半端ないです。役者も長回し大変だからね。

ただ冒頭にも書いたように見た事がある設定な為この第1話は、私と同じような似た作品を見た人にとっては衝撃はないでしょう。あとこの手のクライムムービー好きには驚きはないと思う。

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ワンテイクのカメラワークは面白い手法だから楽しめるけど、ジェイミーを連行したあとに詳細な手続きが長いから監督のリアルな追求の意図は理解しているけど見てる方はダルい…でもこの1話だけ我慢すれば、2話からの心理戦や学校という閉鎖された空間での謎解きが始まり気になって見てしまいます。だからこの第1話は、お楽しみの前の序章として存在していると割り切って見た方が良いです。そのための第1話だと思います。

そして「僕は何もしていない!」と訴える主人公ジェイミーと、父親の目線や接し方を見て行くのも大切だと思います。この第1話での2人。後で第4話になると腑に落ちると思う。


第2話 Episode2

➖殺人事件の3日後

バスコム警部補とフランク巡査部長は、ジェイミーの中学校を訪れた。同じ学年の各教室を周り、ジェイミーとケイティのクラスメートに話を聞いて行く。そしてジェイミーの動機と凶器の場所を知りたいと思っていた。

バスコム警部補の息子アダムもその学校の生徒である。警官は、教師たちが手に負えない生徒の扱いに困り果てていることに気付いた。学校は荒れていた。

既に学校中で、殺人事件とジェイミーの関与のニュースが生徒の間で広まっていた…まだ公表もしていないのに。

ケイティの友人ジェイドは殺人事件に特に動揺し苛立っていた。そして警官の質問に答えることを拒否し暴言を吐いて退室してしまう。

その後、何故か防災のベルが鳴り、全員が外へ避難する。校庭で集合されられる生徒達。その中でジェイドは、ジェイミーの友人ライアンを見つけ「人殺し!」と怒鳴りながら襲撃し、「ケイティを殺したのはお前だ」と非難した。

バスコムとフランクが保健室で殴られたライアンの様子を見に行くと、彼は最初は協力的だったが、パスコムが昨晩の行動など色々と質問をしだすと、すぐに逃げ腰になり、質問に答えくないと言い出し、凶器の話になると教師が止めたにも関わらず部屋から出て行ってしまった。

そこへパスコムの息子アダムが1人で父親である彼にこっそりと会いに来た。「話しがある。2人だけになりたい」とフランク、パスコム、案内をしている教師に言って来た。

使っていない教室を借りて息子と2人きりになるパスコム。するとアダムは、情報があるといい、ティーンエイジャーがソーシャルメディアでコミュニケーションをとるために特定の絵文字をどのように使用するかを説明しだした。

彼は、父にケイティがこの暗号化された言語形式を使って、ジェイミーをインスタグラム上で「インセルである」と非難し、事実上、ジェイミーに対するネットいじめキャンペーンを主導していたことを明かす。

バスコムとフランクはこの事実を知らなかったために、息子のこの暴露に驚き、困惑する。彼らがライアンを再び尋問しようとすると、彼は突然窓から逃げ出し、パスコムが追いかける。学校を出て街中へ。逃走するライアンをやっと捕まると、ジェイミーがケイティを刺すのに使ったナイフは自分のものだと明かした。

学校が終わるとライアンは共謀の疑いで逮捕され、フランクはジェイミーを告訴するためにその場を離れる。

バスコムはアダムを迎えに行き、一緒に過ごす時間を増やす。一方、エディはケイティ殺害現場を訪れ、追悼の花を捧げた。

第2話Lyraの感想:インセルとは

キツイわ〜閉鎖された学校の生徒たちの憎悪にも似た他人や余所者をバカにするような重い空気が怖すぎる。刑事のこの2人が大人なのにも関わらず「この場にいたくない、耐えられない」と言い合っているのだから、どれだけ生徒たちと教師たちの重苦しい雰囲気がわかると思う。

このドラマはワンテイクで撮影しているために次から次へと場面が変わると人が入って来ては出て行き、また新しい誰かが入って来ては出て行く。だが話は進行しても、やって来る人達がみんな苛立っていて敵意丸出し。

生徒達が特にそうで、表向きは普通にしてる子もいるが皆が皆、刑事をバカにしてるし、大人全てを敵だとみなしているようだから見ていて気持ちが悪くなる。

その中で必死に情報提供をお願いしてるフランクとパスコム。何も分からなずから周り。みんなケイティが殺されたことを知ってるくせにただ笑ってる。誰も警察に生徒たちのことをうるわけない。例えそいつが嫌いか奴でも。

だが父が悪戦苦闘しているのを「イタイから」と見ていられない息子アダムは父に情報を与えに来て、真実に近づくヒントを教えた。

これで話しが一気に進展。だがこれがまた汚い話というか…SNSやってる人ならば知っていると思うが、警察も大人達も知らなくてアダムに絵文字の意味を教えてもらって、好意的な文章や絵文字が実はジェイミーへの悪口だと知り驚愕してしまうのである。

第1話でも事情聴取時にパスコムは、ジェイミーに聞いていた。やりとりしてるから友人なのでは?とまで聞いていたくらいで悪意はわからなかったのだ。

警察がインスタでのジェイミーとケイティの投稿を調べているのをアダムは何で知っていたかは描かれてなかったが、父親が意味わからずに走り回ってる姿が居た堪れず教えてくれた説明がこわくて堪らん。それにイイネするまた他の人たちが怖い。

インセルとは incel

インセルは勿論知っていたがそのコミュニティが女性蔑視を実行してるのは初めて聞いた。インセルincel)とは、インターネットカルチャーの一つで、自らを「異性との交際が長期間なく、結婚を諦めた結果としての独身」と定義し、女性蔑視を行うインターネットコミュニティのメンバーであり、白人男性で異性愛者がそれである。”involuntary”(不本意)と”celibate”(禁欲、不淫)の2語を組合せた混成語でありそのような状況下にあることを彼らの間では「インセルダム(inceldom)」とも言う。主にアメリカ合衆国やカナダなどで使用される用語が英国でも子供達が知ってるとは何とも恐ろしい、ハレルヤインターネット社会ということか?

この不本意の禁欲主義者非自発的独身者は、フォーラムの中で、憤怒、怨棍、ミソジニー(女性嫌悪)、人間不信、自己憐憫や自己嫌悪、人種差別、セックスに対する権利意識、女性や性的強者に対する暴力の是認などを論じてる。アメリカの「南部貧困法律センター」(SPLC)は、インセルをヘイトグループのリストに挙げており、「インターネット上の男性優位主義者の生態系の一員」であると位置づけてまでいるため、ある意味激化すると暴力的になる危険性を秘めているのか?と感じた。何故なら、インセルであると自称または推定されている人物が起こした無差別殺傷事件は、少なくとも11件知られており、犠牲者は67人に上る。インセルのコミュニティは、メディアや研究者によって、「女性蔑視主義者であり、暴力を助長し、過激な思想を流布して参加者を扇情している」として批判されている。このことからこれにジェイミーが入っていたならば、今回のケイティへの態度は普段から虐められていることもあり、感情が激化してこのインセルの思想も相まって犯罪に及んだと推定できると思った。「インセル」とアダムが話した時に「まだ13歳の少年が?」とLyraは一瞬思ったが今の世の中、スマホから必要もしてない広告が流れて来るのだから、流れ流れてインセルや似た思想を目にして当たり前なのかもしれない。因みにインセルは、Redditや4chanなどのウェブサイトで、フェミニストへの攻撃、女性差別、人種差別、同性愛差別の投稿をしてるだけでなく、中にはパートナーがいる女性を暴力や強姦で「罰する」ことが奨励されている過激な者もいるから恐ろしい。

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そのように恐ろしい敵意の塊の思想なだけに、逃げていたライアンにパスコム刑事が「インセルが関係してるんだろ?」と言った途端「何でそれを知ってるんだよ?」と急に口を開いたのだ。知られたくなかったのだ、このインセル思想を。だが思想まで知ってるなら他も勘付かれると感じたからライアンは、「凶器は自分がジェイミーにあげたものだ」と口を割ったのである。こういう所はまだ子供なのかもしれないがいずれにせよ、人や女性を人間だと考えずに暴力の対象にするのは歪みすぎてる。

次の第3話でジェイミーの心理が少しだけわかるが、僻みや色々な感情が入り乱れ凶行に走る姿こそ蔑むべきものだと思う。

ラストに憤りを感じ、やるせなくったパスコム警部補は、息子に一緒に昼飯を食いに行こうと誘う。同僚のフランクに話していたが久しぶりの長い会話のおかげで事件の糸口が見えて来たこと、息子と話をしないと彼が何を感じているか、何が苦しいのか(息子は学校に行きたくないと毎朝パスコムに言ってくるから)理解してやれないから会話を持とうとしてるのだと思う。

それに今日の学校での生徒の息子への変な態度を見てイジメの心配もあるからだ。

父親、母親、皆が我が子を理解してるつもりで何も分かっていないのだ、と突きつけられたような回だった。勿論それは親だけでない、隣にいる誰かさんもわからないんだよ、他人の本心など。

第3話 Episode3

➖殺人事件から 7 か月後

心理学者のブリオニー・アリストンは少年拘置所でジェイミーと何度目かの面会をする。彼の精神状態に関する公判前報告書を準備するためだ。

ジェイミーは最近、他の受刑者と暴力的な口論に巻き込まれており、前日も喧嘩したらしい。

ライアンが公判前期間を自宅で過ごしていることに明らかに腹を立てている。ブリオニーはジェイミーに、自分の唯一の目的は事件自体ではなく、事件を取り巻く状況に対する彼の理解を評価することだと明確に伝える。

しかし、ジェイミーは初めは良い子だったのに、時々ブリオニーに支配されたくないようで会話で優位にたちたいような言動を初める。

途中まで笑顔で対応していたブリオニーだったが微妙な緊張感の中で、優位に立とうとするゲームにのようなやりとりから、立ち上がったり怒鳴ってくるジェイミーに恐れを感じ顔が強張り無表情を何とかキープしていく。この2人のやりとりは、ジェイミーが感情的に未熟なため、混乱していき、何度か中断してしまう。

このゲームのような心理戦の会話で、彼の容疑である犯罪、考えられる動機、それらの背後にあるサブカルチャーが議論の中心となる(インセルのこと)。

ブリオニーに説明を迫られた彼は、出来事の完全な時系列を説明する。別のクラスメートの男子が学校中にケイティのトップレス写真を広めたらしい。その男子はケイティが好きだったらしくだから、その男子に言われてケイティは裸の写真を送ってやったがそれを広められてケイティは落ち込んでいたという。

これを見たジェイミーは、今ケイティが精神的に「弱わっている」から、いまならばチャンスがあると(受け入れてくれる可能性が高い)と考えて、ケイティにデートを申し込んだという。だが、予想に反してケイティは、すぐにジェイミーを拒絶し、その後彼についてインスタグラムで嘲笑的なコメントを書いたのだった。

この面談中、ジェイミーの気分は友好的、偏執的、攻撃的、脅迫的と大きく変動した。これには偶然の告白や、ブリオニーをひどく動揺させるいくつかの激怒の爆発もあり、ブリオニーは初めの笑顔などなく口調と感情がなく業務的になっていく。

そしてキレたジェイミーが冷静になり面談をまた続けようと大人しくなった時に、今日の面談が最後のセッションであると告げると、ジェイミーは一変。急にブリオニーに「僕のことを好き?」と切羽詰まったように尋ねはじめた。

彼女は一瞬考えたが、答えることを拒否し、それがさらにジェイミーを動揺させ、暴れ始めた彼を監視員が連れ出した。ブリオニーはその後、緊張がほぐれたのか一気に力が無くなったようにうなだれ、面談室から立ち去る前に静かに一人泣いた。

第3話 Lyraの感想:格差と心理戦

この第3話がジェイミー役のOwen Cooperの演技の見せ所。かなり話題にもなっているからこれが出世作になるでしょうね。コロコロ変わる不安定な容疑者の13さん男子。はにかんだり、生意気ぶったり、大人の女性ブリオニーに気に入られようとしたり…普通の子なのだが、所々に僻みや妬みの感情が出て来るのが非常に気になった。昨今のルッキズムから来る自己嫌悪が彼の犯行の動機にも見えて、ただの妬みから女性蔑視に進み、1人の少女を滅多刺しまで発展するのか?と考えたら恐ろしさが増してしまった…これだといつ誰が犯罪者になるかわかったもんじゃない。ブリオニーはハッキリ言って美人ではない平均的な女性だと思うが、ジェイミーには自分より遥かに美しく聡明でまともな恋愛をしてる人だと羨ましがっているようだった。充分かわいいジェイミーなのに、なぜそこまで自分を蔑むのか理由は出てこないために深い真実までは視聴者はわからない。だが、非常に歪んだ感情が根底にあるのは確かだ。

「僕は容姿が醜いからと女性とは付き合えない」とまだ13歳で言い切るジェイミー。まだ未来があるのにその考えに執着するのは、インセルのコミュニティだからだろう。凝り固まった感情は階級の格差にも及んでるようで、この感じはイギリスらしいというか、ブリオニーが使う単語や喋り方が「お上品」なために、自分たちの階級とは違うから何度も何度もジェイミーはブリオニーに指摘するのだ。見ていて居た堪れないくらい。

環境の違いが要因ならば、生まれた時から不公平は生まれてるというインセルを肯定しなければならぬ精神になってしまうように物語は進んでいく。

ジェイミーは、大人と子供、男女の違い、階級差、容姿の違いによる格差、貧富差、どれだけの違いを意識して気にして生きているのだろう?

それは私たちも同じ世界のこと。他人事ではないのにドラマは、それ以上深掘りしない。そのために見て行くにつれてリアルさがあった第2話とは違い、非常によく出来た演劇(舞台)を見てるような気がしてしまった。

実際この手の事件は本当の真実まではあばけないのだろうから、深掘りしないで現実の2人の面談の進行だけでも成立するとは思う。ただ欲を言えばもう少しジェイミーの心理を知りたかった。

話はそれるが時々出て来る看守が気持ち悪くて、ブリオニーにわざとらしく話しかけたり、ドアの陰から体半分隠して見ていたり異常者みたいだったのが嫌だった〜。あの環境にいたら余計にジェイミーがおかしくなりそう…だから「こんなところから出して!」と怒っていたのね。

第4話 Episode4

➖殺人事件から13か月後

ミラー家の日常。

ジェイミーが裁判を待つ間、ミラー一家は平常通りの生活に戻ろうと努力してきた。

エディの50歳の誕生日の朝、ご機嫌なエディと家族だったが、彼のバンは近所のティーンエイジャーによって「小児愛者」とスプレー書きの落書きをされてしまう。それでもエディは気分を明るくするためにその日遅くに妻のマンダと長女リサを映画館に連れて行くつもりだったが、二人はまずバンのペンキを落とすために町の金物店にそのバンに乗って行く。

そこでエディは、若い店員に良い塗装し直すためのペンキを聞いて案内されるのだが、その店員が彼に気づき、急によそよそしくなりなから「あなたの息子さんジェイミーを支持する」と表明したことでエドは動揺し出す。そのままエディはバンを塗り直すためにペンキを買う。が、外で彼は今朝このバンに落書きをしたティーンエイジャーが自転車でここまで追いかけて来て見ているのを見つけ、怒って彼らを脅し、怒りのあまりペンキ缶をバンに投げつけた。

家に帰る途中、家族は黙ったまま車を走らせていると、ジェイミーから電話がかかってきた。運転中なのもありスピーカーにするエド。

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バースデーカードを送ってきてくれたのでエドはジェイミーに礼を言い、絵が得意だったな、など親子で取り止めのない話を少しすると、ジェイミーが、有罪を認めるつもりだとエドに告げた。ショックを受けたエドは、もう話せなくなり、仕方なくマンダやリサが代わりに挨拶すると、ジェイミーが「みんな聞いていたの?」と言うと次の人が待ってるから、と電話を切った。

家で、エディとマンダはジェイミーの今後の裁判を受け入れるしかないと話しあい、彼のオンライン上の過激化に十分な注意を払っていなかったと自分たちを責め2人して泣いた。

その後、エディはジェイミーのいない空っぽの寝室を訪れ、息子に対してもっと良い対応をしてあげればよかったと後悔しながら大声で泣いた。

第4話 Lyraの感想

a-haの【Take On Me】の夫妻の思い出話がほんわかしていて可愛らしくて良かった。それを聞いて恥ずかしくなる長女もかわいい。その家族の仲の良さだけが救いだし、何とか日常をまともにしようとして明るく振る舞う2人が痛々しい。

普通に暮らしていた家族が、家族の1人が犯した罪によって2次被害にあってしまうことは知っていたし、理解もしていたつもりだが、ここまで執拗に追いかけられたり、ペンキなどの嫌がらせをされたら精神的に持たないだろう。それもあってマンダは夫に引っ越しを何回も頼んだようだが、エドは妻の言う通りリバプールの実家に戻ったらもっと酷くなると引っ越ししないと言う。

苦しかったら可能ならばその場から逃げるべきだとマンダの意見に賛成だが、娘のリサも「引っ越ししたらその時は良くなるけど、また何かのきっかけでバレたら、事態はもっと悪くなるから私は引っ越ししないほうが良いと思うよ」と両親に言うのだ。

すごく強い子だな、と思うし、両親を愛しているのが伝わって来て、気丈に振る舞うリサの姿を見て泣いてしまった。弟ジェイミーのことでとばっちりを食っているはずだし、カレッジでも何か嫌がらせされているだろうに親には一切言わないで「自分のことくらい自分で見れるから心配しないで」と答えるのだから凄すぎる。姉貴ついていきますぜ、と応援したくなるほど良い子だ。

きっとジェイミーも良い子なんだと思う。良い子であり、人よりも感受性が強くてネガティブな性格ゆえに物事を悪くとるようになり、それが自尊心喪失まで及び、いじめなどの環境の悪さもあいまってこのような悲しい事件が起きてしまったのだ。

ただその自信のなさから父親エドに愛されていない、がっかりされてると心痛めていたことが要因でもありそう。

エドは強い=男と考えてる人のようだ。そのため息子には強くなってほしい、男らしくなってほしい、と願っている。だからジェイミーに小さい頃からサッカーやボクシングを習わせていたのだ。だがジェイミーは運動オンチでスポーツが嫌いなのだ。

でも父親に愛されたいために嫌でも頑張ってサッカーをやっていた。それなのに失敗すると周りに笑われる…恥ずかしいし悲しいからエドに助けを求めて父を見る。それなのにエドは目を逸らしてジェイミーを見放してしまうのだ。その出来事がジェイミーに深くのしかかっているのが見ていて手に取るようにわかる。

それをこの第4話でエドが妻に話すのだから驚いた。ちゃんと自覚あるのだ、息子の助けを見て見ないふりしたことを!

ああ、これを毎回やられていたら、どんなに明るい子もパパをがっかりさせた→パパに嫌われた→愛されてない→愛される資格が僕にはないとなってしまうだろう。

エドだけが悪いのではない、様々な環境や人間関係などの要因があり、それこそインターネットの悪影響などもジェイミーの殺人行為を行わせる原因になったのだ。だが、男の子にとって父親という存在がいかに重要で男女関係などの行動に影響を及ぼしているかわかった。だからブリオニーが、やたら父親のことをどう思っているか聞いていたのだ。

宣伝などでは、13歳の少年が犯した犯罪ドラマとして知られているが、この【アドレセンス】は家族のドラマなのだ。

ジェイミーが犯した罪により明るみになったインセルというコミュニティを通して起こった異常な思想への問題提起もしている。だが、濃いはずの親子関係も全て理解し合うことは不可能だし、ましてやインターネットの存在があるために100%の規制のしようがないために、子供の犯罪や良くない思想から子供達を守ってやることは無理なのだ。

その悪状況の中で、あなたならばどうする?どう家族を守る?と投げかけてきているのが、この【アドレセンス】なのだ。

Lyraの解説&まとめ

本作の監督を務めたフィリップ・バランティーニは、『ボイリング・ポイント/沸騰』では、クリスマス前で賑わうレストランでの従業員たちの姿を軸に、人種問題、パワハラ、セクハラ、労働問題にSNSなどレストランに関係するあらゆる問題を描いた90分の作品で、今回の【Adolescence】と同じくワンショットワンテイクで撮影されていることで話題になった。

トリックなしのワンテイクが今まで取り上げられて来た学校問題や青少年犯罪や家族の問題を臨場感あるものにしていると言える。それに第1話は警察署、第2話はジェイミーの学校、第3話は少年拘置所、第4話はジェイミー(加害者)家族の家とホームセンターであり、室内とその周辺が主要な舞台で動の要素があまりないところを、この演劇のようなワンテイクが臨場感を与えているのだ。

でも取り上げている問題は犯罪だけではなく、メインは親子関係をどう信頼性のあるものにできるか、家族としてどうやっていくべきかをとう物語なのだ。

その家族を崩壊させてしまうかもしれない脅威がインターネットなどであり、インセルというコミュニティの存在。

深くしれば知るほどインセルは、怖い。インセルは、セックスや性的魅力をめぐる競争は生まれたときから公正ではなく、それを認識しているのは自分たちだけだという「レッドピル(赤い錠剤)」または「ブラックピル(黒い錠剤)」と呼ばれる理論を崇拝していて、これはアダムも知っていた。もちろんジェイミーはこれを熟知してるはずだ。多くのインセルは、自分たちが遺伝子のくじ引きの負け組で、為す術がないと考えていて、自分たちをポリティカル・コレクトネスによって不当な中傷を受けている少数派だと考えている。

インセルのコミュニティでは、性的魅力がある男性たちのことをチャド (chad)、チャドばかりを選ぶ性的魅力がある女性たちのことをステイシー(stacy) と呼び、敵視しているが、ケイシーがステイシーなのは確実であり、だから断られてジェイミーは余計に逆上したのだろう。もちろん、ジェイミーは自分のことをチャドだとは思っていないし将来なれるとも思っていないだろう…将来なれるかもしれなくても未来を否定しているのだ。

適切な大人、がそばで青少年の犯罪者につきそうというのが、何とも悲しい。適切な大人などいないではないか。

学校も生徒のやりたい放題で教師の権限がない。その場にいる教師は諦めて放棄しているか、威嚇してどなりつけてるだけ。無法地帯だからあの世界にいたら終わりだろうな、とかんがえてしまった。日本の教育現場も同じか?

心理療法士のブリオニー(エリン・ドハティ)は、それでも何とかしてジェイミーを知ろうと微笑みながら頑張っていた。

だがブリオニーが「男らしさ」や「性的な体験」の質問をし出すとジェイミーは反発し、自虐的になったり、嘘をついたり、会話を主導しようとしたり動揺しだす。時には逆上して近づいて行くかやブリオニーは怖いだろう。

途中からブリオニーは怖い顔になるのもわかる、自己を保てなくなっているのだ、怖くて。

それでも冷静に追い詰めるブリオニーは、ジェイミーの性分を露わにさせ、十代前半の少年がインセルという女性蔑視的な思想や攻撃性に染まっている実態を暴いたのだ。

だが完全なる自白はさせられなかったから面談を終わりにする。

「自分はやっていない」と言っていたジェイミーが、第4話で自白すると言った。この面談から半年の間に何があったのだろう?

だがドラマは一切理由を教えず、ジェイミーも言わない。

何とか家族を保とうとしてる加害者一家の一日が、近所の人間たちのイタズラで崩れていく。その中での息子が罪を認めた。衝撃を受ける両親は、幼いジェイミーにPCを買い与えた日のことを話し合い、外の世界にいるよりも画面に没頭している方が安全だと思っていたのに、こんなことになるとは、と後悔し合うのだ。

だが親は子どもたちを以前のようコントロールすることが出来るわけがない…なぜならスマホやパソコンで彼らが何をしているのかまで100%把握することなど出来ないのだから。

アダムが父親に説明していた“20対80の法則”(80%の女性が20%の男性を好む)や“インセル”いう概念すら正解ではないはずなのにいとも簡単に信じてしまうのは、子供故の無知もあるし、チャドになれないという思い込みからくる自信のなさが原因だと思う。

その偏った考えが、女性蔑視に繋がる。それに狭い世界で男子同士でクラスメイトの女子の裸を共有するなんて女性を自分と同じ人間だと思わずものだとみてるのだろうか?と頭に来る。きっとここまでおかしくなった子達に、「ソーシャルメディア上で他人の裸を見せ合うのは異常だよ、やめなさい」と言っても受け入れないしやめないだろう…何しろ教師すら手に負えずに放置しているのだから。このドラマはこのようなコントロール出来ないインターネット社会が子供達をおかしくしているのも告発してるのだ。

【アドレセンス】とは、青年期, 思春期, 年ごろ, 青春のことだ。子供から大人への過渡期であり、感情的にも肉体的にも成長する時期。まだ不安定な時期なのだ。その中でインターネットなどの影響の良し悪しを判断するには、彼らは未熟である。

だが、これって若い子達だけではないのでは?大人だってオンラインカジノとは知らずに誘導されたり詐欺にあっている人もいる。大人だって難しい。親だって完璧じゃない。

人間には完全なる完璧はないと思う。

悩み、判断しながら、もがき、それでも進んで行くしかない。

降りかかってきた苦難、この問題をどう乗り越えて行くか?

それが子供も大人も幸せに生きて行くための方法であり、力を合わせて行くことが家族なのだと感じた。

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Cast

  • Stephen Graham as Eddie Miller
  • Owen Cooper as Jamie Miller
  • Ashley Walters as DI Luke Bascombe
  • Erin Doherty as Briony Ariston
  • Faye Marsay as DS Misha Frank
  • Christine Tremarco as Manda Miller
  • Mark Stanley as Paul Barlow
  • Kaine Davis as Ryan Kowalska
  • Jo Hartley as Mrs Fenumore
  • Amélie Pease as Lisa Miller
  • Fatima Bojang as Jade
  • Austin Haynes as Fredo
  • Lil Charva as Moray
  • Elodie Grace Walker as Georgie
  • Emilia Holliday as Katie

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