試写会と公開初日の両方見て来ました。
「やーと感想を書ける〜!」ということで、今日はティモシー・シャラメが世界に反抗的な眼差しを向けながらも、自分に正直に迷い、生き進む若かりし頃のボブ・ディランを演じている作品【名もなき者ACOMPLETEUNKNOWN】のあらすじ・感想を書きます。
最後までお付き合いくださいませ、ませ。
【名もなき者/ A COMPLETE UNKNOWN】とは
【名もなき者/ A Complete Unknown】は、ジェイ・コックスと脚本を共同執筆したジェームズ・マンゴールド監督による、アメリカのシンガーソングライターのボブ・ディランを題材とした2024年のアメリカの伝記音楽ドラマ映画です。 2015 年の書籍『Dylan Goes Electric!』を基にしています。
イライジャ・ウォルドによるこの映画は、ディランの初期のフォークミュージックでの成功から、エレクトリックギターなどの電気楽器の使用をめぐる重大な論争に至るまでを描いています。
ティモシー・シャラメ(プロデュースも務める)がディラン役で出演し、エドワード・ノートン、エル・ファニング、モニカ・バルバロ、ボイド・ホルブルック、ダン・フォグラー、ノーバート・レオ・バッツ、初音映莉子、ビッグ・ビル・モーガンフィールド、ウィル・ハリソン、スクート・マクネイリーが脇役で出演。
この映画のタイトルは、ディランの1965年のシングル「ライク・ア・ローリング・ストーン」のコーラスに由来しています。
A Complete Unknown is a 2024 American biographical musical drama film directed by James Mangold, who co-wrote the screenplay with Jay Cocks, about American singer-songwriter Bob Dylan. Based on the 2015 book Dylan Goes Electric! by Elijah Wald, the film portrays Dylan through his earliest folk music success until the momentous controversy over his use of electric instruments. Timothée Chalamet (who also produces) stars as Dylan, with Edward Norton, Elle Fanning, Monica Barbaro, Boyd Holbrook, Dan Fogler, Norbert Leo Butz, Eriko Hatsune, Big Bill Morganfield, Will Harrison, and Scoot McNairy in supporting roles. The film’s title is derived from the chorus of Dylan’s 1965 single “Like a Rolling Stone”.
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あらすじ
1961年、ボブ・ディランは、ハンチントン病でゆっくりと死を迎える自分の憧れの人、音楽アイドル、ウディ・ガスリーに会うため、ヒッチハイクでニューヨーク市へ向かった。しかしバーにいる人達に聞くとニュージージーにある病院に入院していると聞いて「そこから来たのに」とがっかり。だが会いたくて仕方ないボブはタクシーを飛ばし病院へ。
ボブは病院でウッディ・ガスリーと親友のピート・シーガーに会う。ボブはウッディガスリーのために書いた曲を演奏し、二人のフォークミュージシャンに感銘を与えた。
ピートはボブを家族と一緒に過ごすよう誘い、徐々にボブをニューヨークのフォークシーンに紹介していく。ボブは小さな教会であるコンサートに出た時にシルヴィー・ルッソと出会う。
ボブは、逆説的な意見やカーニバルで働いていた話で(映画ではサーカスと訳されていました)シルヴィーを魅了し、彼女にピーナッツを勧める。
そのまま街を歩き、映画のマチネを見る2人。そのあとご飯を食べ、別れ際にボブかまた会いたい話をしたのでシルヴィは電話番号を教えた。二人は交際を始め、ボブは彼女のアパートに転がり込んだ。
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ある小さなライブハウスでジョーン・バエズのパフォーマンスの後、ピート・シーガーは業界幹部とマネージャーのアルバート・グロスマンが出席したオープンマイクナイトでボブディランを紹介する。
ボブはバエズに気があるような「彼女は綺麗だ」などと歌う前に話して観衆を掴み、また自作を歌って感銘を与えた。ボブにピンと来たグロスマンはマネージャーを引き受けることを決める。
ボブはアルバムの制作に着手するが、レーベルから新人だからと、ほとんどカバー曲を録音するよう強制される。だがレコードの売れ行きが悪く、ボブは毎日イライラする。
ある日シルヴィは、ヨーロッパへの長い修学旅行に出発する時に、部屋でボブと口論になってしまう。シルヴィは、ボブのよそよそしい性格と、彼の過去を意図的に隠そうとすることに腹を立てていた。でも彼女はボブにオリジナル音楽のレコーディングを推進するよう勧めて出て行った。
彼女がいない間、ボブは政治的、社会的不安を利用して、社会意識の高いソングライティングでファンを獲得していく。これがジョーン・バエズの注意を引き、二人は不倫と芸術的なコラボレーションを始める。
シルヴィーはボブが仕事上でジョーンと親密であるのを見て疑念を抱き、1965年ボブととシルヴィーは別れてしまった。
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しばらくしてスターダムを獲得したが、芸術的自由は得られていなかったボブ・ディランは、業界やフォーク音楽コミュニティの期待に背いていることを嘆いている。ジョーン・バエズとの待望のツアーは惨事に終わる。
ボブ・ディランのエゴを巡る口論と、新曲ではなく人気曲を演奏するというバエズの要求により、ディランはパフォーマンスの途中でステージを降りてしまった。
ボブは期待から解放されたいという欲求から、エレキギターやロック楽器を実験するようになる、、、これは圧倒的にシンプルなアコースティックアレンジを好むフォークシーン内では物議を醸す方向性だった。
ボブ・ディランはバンドを編成し、『ハイウェイ 61 リビジット』のレコーディングを開始。
ボブの新たな方向性は、ニューポート・フォーク・フェスティバルの企画委員会にとって特に懸念されており、彼らは1965年のイベントのヘッドライナーとしてボブ・ディランを雇ったものの、彼が意見を対立させるような新しいサウンドを披露するのではないかと主催者は懸念していた。だがビートが上手くまとめてトリはボブがやることで一応決まる。
ボブ・ディランはシルヴィーをフェスティバルに招待し、その過程で彼女との関係が再燃することを望んでいるようだ。彼女はそれを受け入れボブのバイクの後ろにのりフェスティバルについて行った。だが、バエズと彼のデュエット(「イット・エイント・ミー・ベイブ」)を見て、彼らの関係に嫉妬して決して許せないと気づき、動揺してその場から去った。
ボブは彼女の後を追い、彼女が島を出る波止場までトライアンフに乗って向かうが、彼女に残るよう説得せず、最後のタバコを分け合って別れを告げる。
フェスティバルの委員会はボブ・ディランにエレクトリックギター等を使わないよう働きかけようとするが、最終的にはピートが説得する役目になり、皆はピートがボブへの強く懇願することになる。ピートはボブに自分の人生の仕事がかかっていることを思い出させる。
だが酔っばらったジョニー・キャッシュがボブディランにエレクトリック・ショーをするよう勧め、ボブは、計画を実行してしまう。
観客の反応は辛辣で、ボブのバンドに対して毒舌とビール瓶や紙クズといった物理的な物の両方を投げつけた。ピートを含む委員会は音を遮断しようとするが、グロスマンとピートの妻トシによって阻止される。
3曲ロックの曲をやったあとブーイングの中、ボブはステージから降りた。だがボブはピートとフェスティバル主催者から、アンコールとしてフォークを演奏するという依頼を受ける。
最初は断ったボブだったが、ジョニー・キャッシュがアコースティック・ギターを差し出すと仕方なく折れ、一曲だけ短くアコギで歌った。
翌朝、ニューポートから帰る途中、ジョーン・バエズはバイクで1人で去ろうとしていたボブ・ディランを呼び止め、「あなたが勝ったわ」という。ボブが「何に勝ったんだ?」と尋ねると、「ついに望んでいた他の誰からも自由を手に入れたからよ」と語った。
ボブ・ディランはバイクで町を出る前に、最後にもう一度ウッディ・ガスリーを訪ね、病室でさようならの歌を歌いバイクで去って行った。猛スピードで。
Lyraの感想
【名もなき者 A COMPLETE UNKNOWN】試写会と今日初日両方見た感想なので初見より冷静に感想書いてます。冷静と言ってもエキサイトしているのですが(笑)
Timothée Chalametティモシー・シャラメが頑張っていて熱く歌いあげています。ロードショーされる前は有名所に散々言われていたから「ちゃんと見てから評価して言ってよ」とムカムカしていた気持ちが晴れやかになり「やっと報われるね〜」と我がことのように嬉しい気持ちにまたなりました。歌も良い味出していますよ。
このブログでBob Dylanの事は何回も書いて来ましたが(例えばこれとか→ 和訳【Like A Rolling Stone/Bob Dylan】解説 この歌の本当の意味 Changeless )彼の詩の面白さを解説したり、短期間付き合っていたと言われているEdieイーディ・セジウィックのことについて詳しく書いてきましたが「Joan Baezと付き合っていた事はかいていなかったな」と思い出させられるくらいこの映画はJoan Baezネタおおし…
*和訳【Like A Rolling Stone/Bob Dylan】解説 この歌の本当の意味 Changeless Heart
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ライブシーンは最高なのですが、若い時のボブ・ディランの葛藤を描きたいからか、かなりJoan BaezとSuze Rotolo(映画だとシルヴィになっていたよ!)の間を行ったり来たりするBobの話になっています。浮気男なんだよね。
つまり男女関係がうまくいかないモヤモヤを描いた恋愛ドラマになっているのでラブストーリー好きならば良いけど、Bob Dylan命で恋愛映画はイマイチなおじさん達やボブ・ディランをどうティモシーが演じてるか確認しに来たボブディラン好きには物足りないかもしれません。
まあ、レコーディングシーンは、逸話が再現されているし、Johnny Cash(好き)出て来たり音楽好きやブルーズメン好きやフォーク好きはニヤニヤできます。
*ジョニーについてはこちらなど→和訳 Johnny Cash【I Walk The Line】解説 Johnny Cashの魅力 Man In Black
LyraはBob Dylan好きでTimothée Chalametも好きだから大丈夫でしたし、ガチの音楽映画として見るというよりは、田舎から上居した音楽好き男子のグローイングアップものとして楽しめました。
エドワード・ノートンがボブを引っ張り上げる(チャンスを与えてやる) Pete Seeger役をやっていますが、初め誰か分からないくらい老け役が似合っています。エドワードは、歌も良くて再現度が1番高いかも。
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あとLyraが大好きなJohnny Cashが出て来ますが、イマイチな描き方されていましたね〜「本当はもっとかっこいいんだからねー」と、皆様にはホアキン・フェニックスの映画を見てくだせーとオススメ致します。ウフッ。
話それましたが(笑)、TimothéeChalametはボブディラン役にピッタリだったと思います。
歌い方も途中から今の歌い方に変化していくのが良かったし、ライブも良かったし、レコーディングシーンは圧巻です。
あとバイクを乗り回すシーンが多くてBob Dylanが一時期の浅井健一ベンジーに見えたよ、マジで。ベンジー本人も「若い頃のボブディラン似てるから」と言っていたしなーとか、今回は、色々と自分の好きなアーティスト達が頭に浮かんできて、あと自分の思い出も蘇って来て楽しかったです。人の記憶に呼びかける映画なのでしょう。
Lyraみたいに好きなアーティストたちや自分の活動を懐かしく思う人もいれば、いい加減なBobと振り回される女たちの関係を見て、若い時の恋愛や夢を追いかけていた自分を思い出す人もいるでしょう。
ボブ・ディラン命の人は曲の作成時やラジオから流れて来るのを見て過去の風の匂いを思い出せるかも?
ラスト近く、woodyに別れを告げに行ってハープを返せず走り去るBobが非常に悲しく見えました。
目が虚になり、世間を薮睨みに見るようになってもBobは走り続けていく。強さと弱さが無いまじろになっていく。
冷静に考えるともう亡くなった人もいるせいか、無軌道に走り続けていくBob Dylanが強くも悲しく孤独に見えて物の哀れ感じました。
Monono Aware。
きっと若かりしボブ・ディランは、誰にも理解されないフラストレーションから作品を作りあげるひとだったため、上手くいかない恋愛も人間関係も無理には引き留めずさようならして行けたんでしょう。書くことが全てかな。シルヴィがフェスティバルからいなくなったから、ヤケになりエレキを弾きまくった気がする。
シルヴィは、また16歳ってこともあるし、ボブディランと付き合って理解できないことも多かったこともあり、浮気されたり色々苦しんだけれども自分を大切にするために先へと進むことを選び、自らボブと別れ大人になっていったのだとおもいます。
あとBob Dylanについては楽曲など諸々また別の機会に書きますが、Bobは相性が合わない相手と付き合ったり結婚してる人だなーと思っていてそれってネタ探しみたいに付き合って事件起こして歌詞書くような気がしてしまいました。
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きっとボブは、ずっと好きだったんだろう、スズ(シルヴィ)を。
そう考えるとやはり若くて蒼くさい自分との別れですね、この映画。
成長することは、何かとサヨウナラすることなのでしょう。
【Like A Rolling Stone】
※和訳【Like A Rolling Stone/Bob Dylan】解説 この歌の本当の意味 Changeless Heart
※【Bob Dylan/ Shot Of Love】From Dark Side
*【Bob Dylan/Leopard-Skin Pill-Box Hat】和訳解説 Hat’s Bob’s Love! イーディ・セジウィックの歌 Edie Sedgwick
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