ラストシーンが胸にグッと来過ぎて涙腺崩壊してしまう【ブレイキング・バッド】。何回も見直していたのですが、ここ2年くらい見てなくてたまたま見返したら全シーズン見てしまい、まだ刹那さ引きずってます(笑)。
そのラストで主人公ウォルターの魂を表してるんじゃないか?ってくらいラストを記憶に焼き付けさせる効果をだしているのが今日紹介するBad Finger バッド・フィンガーの【Baby Blue】なのです。
実際にあったラブアフェアの失恋ソングでもあるため真に迫ってるよな、と改めて思いました。とにかくもう頭に残っちゃってて何かにつけて脳内に流れてしまって手に負えなくなってる〜
ブレイキングバッドだとこの歌詞がいかに深い意味を持つか詳しく解説しました。皆と共有して名曲を一緒に楽しみましょ。
今日Lyraが和訳&解説するのはウェールズ、スウォンジー出身のロックグループ Badfinger バッド・フィンガー。
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1961年結成。メンバーは入れ替わりが多いが、彼らの最も有名なメンバーは、ピート・ハム(ギター)、マイク・ギビンズ(ドラム)、トム・エヴァンス(ベース)、ジョーイ・モランド(ギター)です。
彼らは1970年代のパワーポップのジャンルに影響を与えたことで知られ、バンドのレコード売上は1400万枚。
今日Lyraが和訳する曲は、Badfingerバッドフィンガーの1971年リリースの4枚目のアルバム『Straight Up』に収録されている曲【Baby Blue】。
詳しい解説は、LyraのHipな和訳の後にまたお話しましょう!
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“Baby Blue” is a song by Welsh rock band Badfinger from their fourth studio album, Straight Up (1971). The song was written by Pete Ham, produced by Todd Rundgren, and released on Apple Records. As a single in the US in 1972, it went to No. 14.
=Baby Blue=
Guess I got what I deserved
Kept you waitin’ there too long, my love
All that time, without a word
Didn’t know you’d think that I’d forget
Or I’d regret
The special love I have for you
My baby blue
俺は当然の報いを受けたんだろうな
お前をそこで長く待たせすぎたね
愛する君よ
待たせてる間
何も言わずに
お前が俺が忘れるなんて
思ってもいなかったよ
それにこんなに後悔するなんて
お前への俺の特別な愛
俺のベイビーブルー
All the days became so long
Did you really think I’d do you wrong?
Dixie, when I let you go
Thought you’d realise that I would know
I would show
The special love I have for you
My baby blue
毎日が長くなったよ
本当に俺が
君を裏切ると思ったの?
ディキシー
俺が君を手放したとき
俺が知っていると
お前は気づくと思ってたのに
俺はお前への特別な愛をみせるよ
俺のベイビーブルー
What can I do? What can I say?
Except I want you by my side
How can I show you? Show me a way
Don’t you know the times I’ve tried?
俺に何ができる?
何を言えばいいんだい?
ただお前にそばにいてほしい
どうしたらわかってくれる?
教えてくれよ
俺が何度もやろうとしたことを
知らないの?
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Guess that’s all I have to say
Except the feelin’ just grows stronger everyday
Just one thing before I go
Take good care, baby, let me know
Let it grow
The special love you have for me
My Dixie dear
たぶん俺が言いたいことはそれだけ
ただその気持ちは日に日に強くなるばかり
俺が行く前に一つだけ
ベイビー
体に気をつけて
教えてくれよ
そのまま育んでくれたら
お前が俺に抱く特別な愛を
俺の愛しいディキシー
Writer: Pete Ham
Translator: Lyra Sky 和訳
ブレイキング・バッドのラストシーンで使われた
この曲はピート・ハムが作曲し、トッド・ラングレンがプロデュースし、アップル・レコードからリリースされ、1972年に米国でシングルとして14位になっていますが、2013年、アメリカの犯罪ドラマシリーズ『ブレイキング・バッド』の最終話の最後の場面で大きく取り上げられためにリバイバルヒットし、その後イギリスで初めてチャート73位にランクインしています。
こちらは、その悲しい【ブレイキング・バッド】シーズン6のラストシーン。本当に悲し過ぎて引きずってしまうくらいこのBad Fingerの【Baby Blue】が効果的に番組を盛り上げています。泣いたもんな、マジで。↓↓
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制作過程
ヴォーカルのPete Ham はこの曲をアコースティックギターで作曲し、ギターの Joey Mollandは曲のつなぎ部分を簡素化するのを手伝ったと主張している。この曲は1971年9月25日に始まった散発的なセッションでレコーディング。9月27日にさらに作業が進められ、最終的にアルバム『ストレート・アップ』の最後のレコーディング・セッションである1971年10月6日に完成。すべてのセッションはプロデューサーのトッド・ラングレンと共にジョージ・マーティンのAIRスタジオで行われた。
Straight Up (1971 年のアルバム)に収録されているこの曲はグループ最後のトップ 20 シングルで、母国イギリスではリリースされなかったものの、(米国の) Billboard Pop Singles チャートで 14 位まで上り詰めました。「Come And Get It」や「Day After Day」などの以前のヒット曲と同様に、この曲は切ないロックバラードで、ビートルズと共にイギリスからのビッグスターの架け橋となりました。
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原曲(バッドフィンガー)としての歌詞の意味
これは、女性を置き去りにしたまま時間通り(約束はしてたか定かではないが、日時などしては絶対にしていないだろう)に戻らなかったことで彼女との関係を台無しにしてしまった男性の物語です。
主人公の男性は、彼女を手放したことが間違いだったことに気づく。そして彼は甘い言葉で彼女を取り戻そうとしますが、彼の「Dixie Dear」はいずれにしても彼のもとを去って行きました…彼女もまだ恋をしていたにもかかわらず (少なくとも彼の言い分によると)。
【Baby Blue】のラストで出て来る「Dixie」は実際にいた Dixie Armstrong のこと。1971 年の米国ツアー中にバンドのショーの 1 つに行き、その後ツアーに同行するよう招待された歌手です。彼女はソングライターのPete Ham ピート・ハムと付き合い始め、その後、彼を追ってイギリスに戻ったが、そこでの集中的なスタジオワークと数々のライブ活動で二人は遠ざかってしまいまささた。ただバッドフィンガーの別のメンバーの話によると、「ピートは留守中に彼女に電話すらしなかった」といっているので遊びだったのかもしれませんね。「彼女がショーに来たとき、二人は話をして、ピートは本当に彼女のことを気に入ったんだ。二人がすぐに恋に落ちたかどうかはわからないけど、彼は彼女をツアーに誘って、彼女も一緒に来たんだ」と回想している。ピートは最終的にこの関係を終わらせた。
歌詞だけの意味だと振られた男が彼女に「戻ってきて欲しい」と思いながらも、どう考えてダメそうだからメソメソしてる振られたソングなのですが、当時の周りの証言も合わせ考えると、遊び人の男が何となくやっちゃった女の子をお持ち帰りしそのまま放っておいたら、女がいなくなり、いなくなった途端、もったいないことしたかな?と気になりはじめた男の歌ですね。そう考えると失恋ソングでありながらポップなメロディがカラッとしてドライなのも理解できます。
【ブレイキング・バッド】のラストで使われた意味と歌詞の意味
一般的にタイトルの【Baby Blue】=「ベイビーブルー」の意味は、Bob Dylan ボブ・ディラン の「It’s All Over Now, Baby Blue」など、悲しい恋人や振られてしまった好きな人を表す呼びかけであり、多くの曲で見られる表現です。
でもドラマ【Breaking Bad ブレイキング・バッド】では、物凄く大きな意味を持っています。
主人公の高校教師のWalter White ウォルター・ホワイトは、ある日ガンで余命宣告をされてしまいます。ウォルターは、命を落とす前に自分が死んだ後、残された家族が路頭に迷わないために、お金を稼ごうとメタンフェタミンを製造することを決意。自分の働いてる高校を卒業したマリフィナの売人をしてるジェシーをひょんなことから誘い、メタンフェタミンの製造と販売を始めるのですが、この彼が製造したメタンフェタミンが誰も作れないほどの純正度が高く、その高さゆえに偶然ですが、今までメタンフェタミン系ドラッグではなかった明るい水色をしていたのです。ウォルターは、しがない安月給の高校教師からこの水色のメスのお陰でハイゼワベルグという麻薬カルテルを牛耳る伝説の男にまでの仕上がっていくのです。
このたまたまの水色…だけどこの水色が大好評になりディーラーも買う人間達も彼が作るドラッグかどうか判断する指標にもなったのです。この水色がベイビー・ブルーの色と言えるのです。因みにベイビー・ブルーは新生児良く着せてあげる水色から来ています。頭に浮かぶでしょう?明るい淡い水色が!
だからこの歌詞は、この【ブレイキング・バッド】の中では、メタンフェタミンの象徴する色をも意味しているのです。更にもう一つ意味があるのですが、ドラマを全部見た人には分かると思いますが、ウォルターは妻や息子や生まれたばかりの娘を非常に愛していました。はじめお金がなくて苦労はしましたが、息子には尊敬され、妻にも愛されていたのですが、メス作りを始めて大金が入るようになり、普通の人間が10人集まっても稼げないくらいの大金持ちになればなるほど家族は遠ざかって行ってしまうのです。
ラストシーズンでは、妻に「貴方が死ぬのを待っている」と酷いことを言われ、あんなに味方になってくれていた息子にまで「早く死ねばいい」と告げられてしまうウォルター。それでもウォルターは妻達を愛して彼らに金を残すために奮闘するのです…最後の最後まで。
死ぬ覚悟ができラストの大仕事をする前に妻に別れを言いに(助けてやるためでもありますが)行くウォルターは、妻に「あなたは「私たちのためにやっただけ」とそればっかり言い訳にして!」となじられた時に、はじめて「それは本当だよ、でも自分は作る才能があり、料理するのが好きだった。生きてると感じたよ」と打ち明けました。
妻を愛するのもウォルターの生きる原動力であり、この誰も作れないほどのベイビーブルー色のメスを料理できる自分、というのもウォルターの原動力だったのです。そう、妻に恋し、自分のメタンフェタミンにも恋をしていたのです、それも熱烈に。
ウォルター・ホワイトは、自分の創造物に恋をしているため、このラストシーンでメスを作るラボに彼がいるというのは、非常に感傷的な価値があります。そしてこの曲【Baby Blue】がドラマの最後のシーンで流れる曲に選ばれた理由なのです。
クリエイティブ・フォースであるヴィンス・ギリガンによると「ウォルターは、自分が設計したメタンフェタミンのラボ、いわば彼の赤ちゃんと一緒にいます。歌詞がそれを裏付けています。そして、彼は自分自身と平和に暮らしていると思います。」
1970年代にアメリカでヒットしたあとは、ずっとこの曲の人気はピート・ハムとともに消えたかのようでしたが、このAMC の大ヒット番組【ブレイキング・バッド】Breaking Bad のフィナーレでこの曲が使われたことで【Baby Blue ベイビー・ブルー】は再び失恋を慰める曲として使われるようになりました。
実際、この曲が使われたことで、この曲はイギリスでも初めてチャートインし、73 位に達しました。
【Baby Blue】に恋したWalter White
この【ブレイキング・バッド】というドラマはドラッグを利用してのしあがる男達の話ではあるが、それは表向きなエンターテイメントの面であり、本筋は家族を守るために奮闘する男や女の話だ。立場は違えどスカイラーもマリーもそれぞれの家庭を守ろうと必死だったからね、煩くて邪魔な奥さん達だったけど(笑)。
ウォルターがあそこまで(家族に憎まれても)自分の家族を守ろうとしたのは何故だかは、わからない。他に何もないから執着心にも似た行為を見せたとも言えるが、彼にはメスを料理する事と家族を守ることしかなかったのだ。
「たとえそれで家族から憎悪の目で疎まれようとも、親父ってのは金を稼いで家族に与え続ける生物だ。」と言う麻薬カルテルの大ボスだったガスのセリフが、ウォルターの生き方なのだ。家族のために金をが削ぐことがウォルターの生きる原動力。
そしてそんな自分に富と権威を与えてくれるメタンフェタミンが彼の生きる原動力なのだ。それは自分の存在価値だとウォルターは思っていたはずだ。
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ラストにこの【Baby Blue】が流れる中、ウォルターは愛しそうにラボの装置や道具を愛撫する。彼が死ねことで、もう純度が恐ろしく高いベイビー・ブルー色のメスはこの世からなくなる。そう、一緒になくなるのだウォルターと共に。好きなあの子Baby Blueと死ねるのだ。
自分が生み出した赤ん坊でもある愛する【Baby Blue ベイビー・ブルー】と一緒にウォルターはあの世に逝く。その顔はとてもとても幸せそうだった。
My Baby Blue
While “Baby Blue” is an expression seen in many songs, such as Bob Dylan’s “It’s All Over Now, Baby Blue”, to denote a sad lover, this line also holds great meaning in the show Breaking Bad. The protagonist, Walter White, produces methamphetamine as he tries to make some money before he might lose his life to cancer. The methamphetamine he produces happens to be blue.
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This line holds huge sentimental value, due to the methamphetamine being iconic and the character falling in love with his creation, which is the reason why the song was selected to play during the series’ very last scene. As per the show’s main creative force, Vince Gilligan:
He’s with that meth lab that he designed, his baby so to speak. The lyrics back that up. And I think he is at peace with himself.
This is a track from the 1971 album of the Welsh band, Straight Up, their fourth LP. It was the group’s last Top 20 single, peaking at number 14 on the (US) Billboard Pop Singles chart, while it was not even released in their native UK. As with prior successes like “Come And Get It” and “Day After Day”, the song was a yearning rock ballad that provided a bridge between The Beatles and Big Star.
It is the story of a man who ruins his relationship with a woman by leaving her and not coming back to her in time. He realises his mistake of letting her go. While he attempts to bring her back with sweet words, his “Dixie Dear” proceeds to leave him either way, even though (at least according to him) she is still in love, too.
“Dixie” was actually Dixie Armstrong, a singer who went to one of the band’s shows during the 1971 US tour and was then invited to join them on the road. She began dating songwriter Pete Ham and afterwards followed him back to England, where intensive studio work and numerous live gigs distanced the couple. Moreover, as per another member of Badfinger, “Pete wouldn’t call her when he was away”.
Until recently, it seemed as if the popularity of this song had died with Pete Ham, but due to the AMC hit show Breaking Bad using the track at the finale of the show, “Baby Blue” has started to console broken hearts once again. Indeed, the impact of its use resulted in the song charting for the first time in the UK, reaching #73.
Personnel
- Pete Ham – lead vocals, rhythm guitar
- Tom Evans – backing vocals, bass guitar
- Joey Molland – lead guitar
- Mike Gibbins – drums, percussion
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