【34 Ghosts Ⅵ / Nine Inch Nails】解説 進化し続けるナインインチネイルズの世界 Keep Evolving Band

たまに日本を感じさせるアーティストがいる。

東洋思想に傾倒し、日本好きになってくれたDavid Bowieや、日本のファンの歓迎ぶりからJapanese Culture を愛してくれた Queen クイーンのFredie などなど、、、

彼らは、部屋のディスプレイを写真に写していたし、公言していたから彼らを知らなくても見て取れた。

だが、本人は公言してはいないけれど作り出すものから和を感じてしまうアーティストがごく僅かだがいる。

そのようなアーティストを見つけると、国境や歩んできた過去は関係ないな、と感じてしまう。

時代を飛び越えた、DNAに刻まれているのか?

ただの趣味趣向なだけか?

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今日Lyraが解説するのは、アメリカ合衆国オハイオ州クリーブランドで結成されたインダストリアル・ロックバンド Nine Inch Nails  ナイン・インチ・ネイルズ

略してNIN。ロゴは、3文字目のNが左右反転され、「NIИ」に似たアンビグラムになっている。(印刷物やテキストデータでは普通に「NIN」)。

1989年にシングル【Down In It】でデビュー。

隅々まで計算されたサウンド・プロダクションに、ビジュアル・ワーク、内省的な世界観は芸術の域に達しており、その反面、ステージングが過激という『静と動』の二面性を持つ唯一無二なバンドだと思う。

そのインパクトある姿勢は、フォロワーのアーティストに多大なる影響を与えた。

*Nine Inch NailsのBand についてはこちら→【Wish / Nine Inch Nails】 和訳 Among the Living & the Dead 生きる屍、夢を見る

 

今日Lyraが解説するのは、Nine Inch Nailsの6枚目のスタジオアルバム『 Ghosts I-IV』から【34 Ghosts Ⅵ】。

2008年3月2日にバンドのオフィシャルサイトで発表・リリースされた。

ほぼ楽器のみで構成されたインストゥルメンタル作品である。

実は紹介したい曲があり、それを知る前にこちらを先に解説した方がわかりやすいため、今日は珍しくインストを紹介しますね。

詳しい解説は、曲の後にお話しましょう!

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“34 Ghosts IV” is the thirty-fourth track on 2008’s Ghosts I–IV. The beginning of the song is very similar to “The Fragile.” The track was nominated for “Best Rock Instrumental Performance” at the 2008 Grammy Awards. Multitracks for this song were released in raw WAV format via remix.nin.com.

In December 2018, the song was sampled by rapper Lil Nas X on “Old Town Road” with Trent Reznor and Atticus Ross being given songwriting and production credits. “Old Town Road” went on to top the Billboard charts for 19 weeks, giving Reznor his first number one hit on the Hot 100. He and Ross also won a Country Music Award in 2019 for their production on the track.

 

= 34 Ghosts Ⅵ =

 

[Instrumental]

 

Songwriter: Trent Reznor

 

美しい旋律が、漂うように奏でられている曲。

この【34 Ghosts Ⅵ】を聴くと日本の神社仏閣に流れる冷ややかな美しさを感じてしまうのはLyraだけだろうか?

作曲しているのは、NINのフロントマン、Trent Reznor トレント・レズナーだ。

2007年、Trent はインタースコープ・レコードとの契約が終わったのを機に、これからは自身がプロデュースしたソウル・ウィリアムズのアルバムのように、インディーズからリリースすることを決意。

その最初の作品がトータル109分に及ぶアルバム『Ghosts Ⅰ〜Ⅵ】なのである。

 

https://youtu.be/0eg3C1vNxOA

 

本作は「イヤー・ゼロ〜零原点…」発表に伴うツアー終了後に制作開始。

面白い試みの元に作られた画期的な作品と言えるかもしれない。

Trent は、意図的に制約を設け、実験的に制作し始めた。

そのルールは、

「10週間以内に仕上げること」、

「明確なテーマは持たないこと」、

「考え過ぎないこと」、

「勢いを大切にすること」といったもの。

 

Trentが語るには、曲作りはある場所や風景、シチュエーションのイメージに対して、それを音やテクスチュア、メロディで表現する方法を探すというアプローチで進められたという。

制作はTrent と、これまで多くのNIN作品に関わってきたAttcus Ross アッティカス・ロス、Alan Moulder アラン・モウルダーが中心となり開始。

2005年以降、NINのライブでキーボードを担当するアレッサンドロ・コルティーニ(2週間だけ参加)、デヴィッド・ボウイやキング・クリムゾン等に携わったエイドリアン・ブリュー、ドレスデン・ドールズのブライアン・ヴィグリオーネが参加。

ヴィグリオーネはレズナーから「発想やアイデアを思いつくまま楽しんで、クリエイティブになってほしい」とアドバイスを受け、ドラムセットにゴミ箱やウォーター・ジョグ、クッキートレイを括りつけてプレイした。

初めは、EPとしてだったが、インプロヴィゼーションと試行錯誤を繰り返しで行く内に、膨大な量のマテリアルになりアルバムになった。

このことからも、湧き上がるアイデアのままに、自由に形にしていくNINの実験的な作品であったと言うことが分かる。

 

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このアルバムは、グラミー賞、最優秀ロック・インストゥルメンタル・パフォーマンス賞に”34 Ghosts IV”、最優秀ボックスまたはスペシャル・リミテッド・エディション・パッケージ賞にウルトラ・デラックス・エディションがそれぞれノミネートされた。

クリエイティブ・コモンズ・ライセンスのついた作品としては、初めてのグラミー賞ノミネートだ。

同年に発表した次作ザ・スリップでも、ダウンロード版を無料で提供し、CDやLPレコードでも発売するという方法を取ったことが音楽の流通形態 へのチャレンジと評価され、2009年のウェビー賞では、Trent Reznor のことを”Webby Artist of the Year Award”に選出した。

ローリング・ストーンは、Trentを「ポストCD時代におけるもっともクリエイティブなアーティスト」として、「アメリカを変える100人」の46位に選んだ。

 

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本作は、「イメージされた場所やシナリオをサウンドと曲の構成で出来る限り視覚的に表した『白昼夢のサウンドトラック』」と語るTrent。

この【34 Ghosts Ⅵ】はインストゥルメンタルの曲であるが、アルバム中には、数曲サンプリングされたヴォーカルが使用されているのもある。

ピアノやギター、ベース、シンセサイザーと言った Nine Inch Nailsで通常使用している楽器に加え、マリンバ、トロンボーン、バンジョー、ダルシマー、シロフォン等も使われており、サンプリングされた上でディストーションをかけて使用されていているため、不思議な世界観が出ていると思う。

ゴミ箱やウォーター・ジョグ、クッキートレイも使われているのは、正にインダストリアルロックを体現していると言える。

ナショナル・パブリック・ラジオは、エリック・サティのピアノ曲やイーノの作品と比較し、ローリング・ストーンは本作のサウンドはイーノのAnother Green World (1975年)の暗いサウンドのようであり、正確なリズムはMy Life in the Bush of Ghosts (1981年)のコラージュのようだと評している。

 

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この【34 Ghosts Ⅵ】は、Nine Inch Nailsの大ヒットした 【Wish 】のようなアグレッシブさや、ライブで繰り広げられていた見るからにThe バイオレンス ! と言った分かりやすい暴力性もない。

マイナーな曲であり(芸術的評価は高く、音楽好きからの指示も高いのにも関わらず)、一般的なリスナーからのリアクションは低いかも知れない。

だが、ほぼ作品全体を通してインストの楽曲が多いにも関わらず、ストーリーがあるかのようにイメージが湧いてくるのが分かるだろう。

これも、Trentのこの作品に課した「ある場所や風景、シチュエーションのイメージに対して、それを音やテクスチュア、メロディで表現する方法を探す」というアプローチの賜物だろう。

そして、Lyraには、この世界観がある意味、日本の巻物に書かれていた枕草子や古事記のような壮大で日本的な静と動の美しさ、繊細さを秘めているように感じる。

Trentが和を意識したか、狙ったか?又は、全く構想中にはそんな考えがなかったかはわからない。

だが、彼の中での偶発的な思考の中で、歴史を紐解くかのようなサウンドが生まれたのは確かだ。

Trent Reznor = Nine Inch Nailsは、このような新しい試みをし、常に同じ所には留まってはいないバンドだと思う。

第一に、アンダーグラウンド・シーンの一つであった Industrial Rock インダストリアル・ロックをミュージックシーンの日の当たる場所へと持ち上げたバンドの一つでもある偉大なバンドなのだから、常に進化するのは当たり前なのかもしれない。

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1993年と1996年にはグラミー賞のベスト・メタル・パフォーマーに選出され、

2011年「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100組のアーティスト」において第93位に選出されている実績のあるバンドNine Inch Nails。

メイン・コンポーザーである Trent は、1997年、タイム誌が特集を組んだ「最も影響のある25人のアメリカ人」の一人に選出された事もある。

NINのアートの域にまで到達する作品は、多くの人々に影響を与え続けて行くのだ。

この次に  Lyraが和訳&解説するユニットも、ジャンルは全く違うが、Nine Inch Nailsの 飽くなき音楽の探求心にインスパイアされたから、新しい作品を生み出し大ヒットさせたのだと思う。

(*和訳した曲を次回、紹介するからお楽しみに〜!)→ “【Lil Nas X / Old Town Road feat. Billy Ray Cyrus】

 

 

Nine Inch Nailsが、次に何を生み出すか?

Nine Inch Nails がどのような進化をし、素晴らしいアートな作品を作り出してくれるか?

これからも期待して見続けて行きたい。

 

34 Ghosts IV

This is the only known version. The beginning follows a similar pattern of “28 Ghosts IV”; a mellow synth bassline begins the song, with a simple plucked banjo string riff. More banjos are layered on to create chords, and piano accompanies after a few measures. All of these layers cut off, replaced with a low ascending piano line very similar to the one that begins “The Persistence Of Loss”. Brass horns play along with the piano riff, and unsettling plucked strings and a drone enter. The drone plays alone for a few seconds, when a distorted synth loop plays. A few synth layers join with simple filtered percussion. A drone begins to fade back in, and effected piano plays when a higher version of the synth loop enters. The higher synth loop, drone, and filtered percussion fade out, ending the song.

Live

“34 Ghosts IV” has never been played live.

Differences in Artwork

It should be noted that much of the artwork embedded in the files of the official download of Ghosts I–IV from nin.com are not just cropped versions of the photographs in the PDF. In this case, the two photographs are completely different.

 

“34 Ghosts IV” is an instrumental track by the American experimental rock project Nine Inch Nails, included in the Creative Commons licensed compilation Ghosts I-IV, released on March 2, 2008.

The song was nominated for ‘Best Rock Instrumental Performance’ at the 2008 Grammy Awards, the first Creative Commons song to achieve this honour.

When the Dutch producer YoungKio sampled the song in order to create a type beat, he didn’t know how much popularity either him and NIN would have thanks to the edit by a young and previously unknown artist from Atlanta.

収録

曲中の注記を除き、全曲、作詞・作曲は、トレント・レズナーとアッティカス・ロス。

Disc 1

Ghosts  I

  1. 1 Ghosts I – 2:49
  2. 2 Ghosts I – 3:16
  3. 3 Ghosts I – 3:51
  4. 4 Ghosts I(アレッサンドロ・コルティーニ、レズナー、ロス) – 2:13
  5. 5 Ghosts I – 2:52
  6. 6 Ghosts I – 4:19
  7. 7 Ghosts I – 2:01
  8. 8 Ghosts I – 2:56
  9. 9 Ghosts I – 2:47

Ghosts II

  1. 10 Ghosts II – 2:42
  2. 11 Ghosts II(コルティーニ、レズナー、ロス) – 2:17
  3. 12 Ghosts II – 2:17
  4. 13 Ghosts II – 3:14
  5. 14 Ghosts II – 3:06
  6. 15 Ghosts II – 1:53
  7. 16 Ghosts II – 2:30
  8. 17 Ghosts II(コルティーニ、レズナー、ロス) – 2:13
  9. 18 Ghosts II – 5:23

Disc 2

Ghosts Ⅲ

  1. 19 Ghosts III(コルティーニ、レズナー、ロス、ブライアン・ヴィグリオーネ) – 2:12
  2. 20 Ghosts III – 3:39
  3. 21 Ghosts III – 2:54
  4. 22 Ghosts III(コルティーニ、レズナー、ロス、ヴィグリオーネ) – 2:31
  5. 23 Ghosts III – 2:44
  6. 24 Ghosts III – 2:39
  7. 25 Ghosts III(エイドリアン・ブリュー、レズナー、ロス) – 1:59
  8. 26 Ghosts III – 2:26
  9. 27 Ghosts III(ブリュー、レズナー、ロス) – 2:52

Ghosts IV

  1. 28 Ghosts IV – 5:22
  2. 29 Ghosts IV(コルティーニ、レズナー、ロス) – 2:55
  3. 30 Ghosts IV – 2:59
  4. 31 Ghosts IV – 2:26
  5. 32 Ghosts IV – 4:26
  6. 33 Ghosts IV(コルティーニ、レズナー、ロス) – 4:03
  7. 34 Ghosts IV – 5:54
  8. 35 Ghosts IV – 3:30
  9. 36 Ghosts IV – 2:19

ボーナストラック

デラックス・エディションとウルトラ・デラックス・エディションには2曲のボーナストラックがマルチトラックファイルとしてDVDに収録されている。

  1. 37 Ghosts
  2. 38 Ghosts

Personnel

Album credits adapted from the liner notes of Ghosts I–IV:

  • Trent Reznor – performance, production, art direction
  • Atticus Ross – programming, arranging, production
  • Adrian Belew – guitars (3, 4, 7, 10–11, 14, 16, 21, 25, 27, 31, 32, 35), electronics (25), marimba (30)
  • Alessandro Cortini – bass (4), guitars (4, 11, 17, 20, 24, 28), dulcimer (22), additional electronics (19, 22, 29, 33)
  • Brian Viglione – drums (19, 22)
  • Alan Moulder – engineering, mix engineering, production
  • Tom Baker – mastering
  • Rob Sheridan – art direction, photography, visual and physical elements
  • Artist in Residence – art direction, photography, visual and physical elements
  • Phillip Graybill – photography
  • Tamar Levine – additional photography

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