その頃ランスホーンズビーは、牢屋でボーッとしていた。ユージーンがあげたリンゴ飴には手もつけていない。
すると口笛が聞こえた。
ランスが壁の鉄格子から外を見ると、下には部下のハゲと偽物ステファニーがいて合図をしてきた。ランスはそれを見て頷いた。
そしてスッと立つと、リンゴ飴をかじり、部屋の鉄格子の扉へと歩いて行く。
走り逃げるマックス。するとステージの反対側からウォーカー達がヨタヨタ歩いて来る。それは、先程、ハゲと偽物ステファニーが殺した清掃員達が、転化したウォーカー達だった。
住民達も気づいて叫び声を出したり、逃げたりする者たちで騒然となる。
そして捕まってしまった住民達は、ウォーカーに食べられていく。
マーサは、見ていられず、住民達を助けに行く為、ステージから降りる。パメラはそれを見て、「どこにいく!私の警護でしょ!」と呼び止めたが、マーサは「私は町の人々を助けに行く」と言うと、パメラを見捨た。
ダリルは、ジュディスの肩を掴み、2人で逃げる。が、人混みの流れに巻き込まれて離れ離れになってしまった。
ジュディスは逃げている途中、人混みの向こうからウォーカーが、こちらに向かって来るのを見て、フリーズしてしまう。
ジッとウォーカーと目が合ったまま身動き取れないジュディスを見つけて、ダリルが銃でウォーカーの頭を撃ち。助けてやる。
それを見てジュディのは決意し「私に銃をちょうだい!」とダリルに言う。
そしてダリルが渡すと「皆んなを助けよう」と言い、ダリルと一緒に、みんなを助けに行く。
マックスは逃げ惑う。するとセバスチャンに呼び止められ、一度は逃げたが捕まってしまい、両肩を掴まれてしまう。
セバスチャン「このやろう!つけ上がるな!」とマックスに文句を言っていたが、斜めからウォーカーが一体やって来るのが見えた。先程の清掃員の女がウォーカーになっている。
セバスチャンは、企んだ笑みを浮かべ、わざとマックスを、やって来たウォーカーの方へと突き飛ばした。
ウォーカーは、こちらに来たマックスを掴み、噛みつこうとする。マックスは逃げようとして揉み合いになるが、ユージーンがウォーカーにタックルし、上手い具合にはね退け後方にウォーカーを突き飛ばした。
そして、そのウォーカーは、マックスがウォーカーに殺されそうなのを嬉しそうに見ていた後ろにいたセバスチャンの方へと飛んで来た。
今度はセバスチャンが、ウォーカーと揉み合いになる。
「助けてくれ!誰か!」と叫ぶセバスチャン。
だが周りに人だかりが出来ているにも関わらず、誰もセバスチャンを助けようとはしない。
セバスチャンの助けを求める叫び声を聞いても皆んな見ているだけ。
そしてウォーカーがセバスチャンに噛みつき、肉を食いちぎって血を流していても、誰も何もせず立って見ているだけ、、、。
そこにジュディスが来て、セバスチャンを喰っているウォーカーの頭を撃ち殺してやった。
皆んなが悲惨そうに、顔を顰めて血だらけのセバスチャンを見下ろしていた。
その中、スピーカーからはセバスチャンの声が、まだデカデカと流れて来る。
「市民はバカだから見えてないんだよ。この町は、嘘の上で成り立っている。皆んなアメリカンドリームを実現できると信じたいんだよ。『誰でもやればできる?』くだらない。金持ちが好きな風に生きるためなのに。貧乏人は貧乏のままさ…」
3.Lyraの感想
この約10年、アメリカで公開されてからリアルタイムで見てきたウォーキング・デッド 。
今回は、久しぶりにやるせなくて、それでいて考えさせられる回だった。
このやるせなさは、グレンやエイブが亡くなった時とは違う。
あの時は、食べ物が喉を通らないほど落ち込んだし(たかがTVドラマで、と言われそうだが)、悲しみのレベルが違う。
勿論、リックがいなくなった時の悲しさとも違う。
未だにリックがいないことに納得がいかないし、原作みたいな状況になってしまったのならば(なってほしくない!) まだ分からなくもないが、リックなしのウォーキング・デッド は、ウォーキング・デッド ではないと思って我慢して見ている。
今回は、それらのどん底な最悪ケースではない。
が、体制に逆らえない、一般市民の現代社会における弱い立ち位置を、改めて大風呂敷に広げて見せられた気がした。
だから、やるせなくなったのだ。
多分、ウォーキング・デッド 1位、2位を争うくらい今回は、問題提起した回だった、、、まあ、大袈裟と言われそうだが。
これって今のアメリカを表していると思う。
わざわざ、セバスチャンが血みどろになって死んでいるところで、セバスチャンの「アメリカンドリームなんてない。金持ちが生きやすくする為だ。貧乏人は貧乏なまま」と言う言葉で締めくくったのは、この言葉をTVと言う媒体で公表したかったからだろう。
普通ならば、こんなにしつこくやる必要性はない。
わざわざセバスチャンの声で終わらせたのは、このセリフが今の現代アメリカの闇だと言いたいからだろう。
アメリカの貧富の格差は広がるばかり。
就職難も過去最悪で、移民対策だって何も進んでいない。人種差別も激化している上に、このコロナ禍でストレスが溜まっているのか、普通の人間が銃をぶっ放して普通の人間たちが犠牲者になっている。
さまざまな要因が重なり犯罪や差別が起きているが、その中に貧困も要因の一つだと思う。
それも抜け出せない悪夢のように現代人を襲い続けているようなもの。
何かを変えなければ、、、
ごく僅かな富裕層だけが得をする現代アメリカの仕組みに貧乏人はなすすべもないのだから。
セバスチャンは、可哀想なやつだとは思う。
見るからに幼少期、ママがいてほしくてもママはいなかった。寂しい思いをしただろうし、市長だから仕事ばかりしているママは、兄貴を溺愛。兄ばかり期待されて自分は価値がないやつだと思っていたらしい。
これでは皮肉れてしまうのも分からなくもない。
だからと言ってストレス発散の為に、市民をオモチャみたいに扱い、殺してしまうのは頭がおかしい奴だ。
マックスをウォーカーに食わしでやろう、と突き飛ばすのはあり得ない行為。だからそんな奴は、死んで当たり前だし、ざまあ、見ろなのだが、何とも言えぬ気持ちが湧き上がる。
社会の悪き仕組みをどうやっても変えられない、おなじことを繰り返してしまう人類の無力さに憤りを感じたのだ。
社会派ドラマみたいなラストがニューアメリカンシネマの影響丸出しだ。
ゾンビ映画が得意なアメリカなのだから、当たり前だ。
それにロメロの映画に社会批判が丸出しだから、Lyraのこの気持ちが映画好きなら分かっ頂けると思う。
ドラマで社会なんか変わりはしない。
だが問題提起はすることができる。
誰かが声を上げなければ、いつまでも同じことの繰り返し。
それをウォーキング・デッド は変えようとしたのか?
知らなければ、不幸な立場がわからない。
まるでコモンウェルスの市民達のように、出来レースで一喜一憂するしかないのだ。
そして不幸な自分達の立場がわからなければ、変える事もできない。
変えようとしなければ、何も変わらない、、、この世は。
何も変わらないのだ。
自分が変えないと。
『誰でも、やろうと思ば、何でも出来る?」
願えば叶う世界。
それが本当の人類の再建なのだ
4.解説 Lyraのツッコミポイント
いつものようにツッコミポイントに行きましょう。
(今回は、感想に色々書いたのでいつも程ないけど)
①均整の取れていない兵士達とショボイ展開
始めのシーン。ダリルがランスにナイフを突きつけている所で、マーサが「皆んなライフルを下ろせ」と言って、皆んなバラバラとライフルを下ろしたシーンが、しょぼくて残念。あれだけ緊迫したシーンならば、もうちょっと乱闘があって良いのでは?
ランスの左手を刺したダリルに注目をいかせる為に、しょぼくしたのでしょうけど、ダルダルな弱い兵士達がダリィ〜と安っぽい。
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今回は、リック達のファミリーの面々が、アレクサンドリアに戻りたいメンバーと、このままコモンウェルスに残る派に別れたからビックリ。
コモンウェルスは、今回で終わりにして新たな舞台でラストを飾ると思っていたので、メンバーバラバラで最後まで吸ったもんだするわけないよね?と心配だ。
②分裂
今回、ジュディスvs ダリル、江崎 vs キャロル、ニーガンvs アニー、あと、少しだけ ゲイビーvs ロジータが意見が対立していた。対立と言っても大喧嘩しているのではなくて、ダリルはいち早く家(アレクサンドリア)に帰りたいのだが、ジュディスは、町として崩壊しているコモンウェルスを助けたい、と考えていたり、留まるか、出ていくかで仲良しでも対立するのね。
面白く観察をさせて頂いたが、この対立がこの先のストーリーに関係してくるのか?それとも、セバスチャンが死んで町もおかしくなったから、この意見の違いは分裂を起こさず、今回だけのトピックだったのか? 個人的には、今回の話を盛り上げるためだけのエッセンスみたいなエピソードだと思っていますが、、、。
来週の展開でわかるでしょう。
③強気なマックス
今回、意志を貫き通したというか、ワガママし放題な感が否めないマックス。きっと正義感が強い人なんでしょうね。て、「悪事を見て見ぬふりしていた」と言ってたから正義感はそれ程ない人だろうけど、コニーやマグナ達の正義感の強さや行動力に感化されたんだと思う。
今回マグナやコニーが出ていなくて残念すぎ。格好良いわよ〜2人とも!
強くて頭良い。
で、マックスがあまり好きになれないタイプなのは、良い人ぶってる所か?或いは、ユージーンにあたったりする癖に、自分はやらずに他人任せだからかな。
「不正が許せない」とセバスチャンに酒を飲ませて、本音を言わせて録音したり、これを活躍したと言ってもいいが、何かモヤモヤしてしまう。
ただ単にワガママで魅力ない人はタイプじゃないだけかもしれないが、見るに耐えない怒りっぷりは、見たくないですな。
④ニーガンとアニー
幸せになって欲しいカップルだわん。でもニーガンが父親の昔話を出したり、アニーが反対意見の「コモンウェルスから出る」を言っていたりと、2人がこの先、死別しそうな気がした。嫌な予感する「羊水が多い」とエコー検査で出ていたアニーに医者は「検診していれば大丈夫」とだけ言ってるのは、ヤバい。
死別しそうだが、どちらが?
ニーガンは生きて。多分、この後『Maggie & Negan』と言うスピンオフが製作されるから、Neganは死なないと思う。
⑤Maggie マギー
マギーがキャロルのパメラとの取引内容を聞いている時に「私はもう1人じゃ無理」と言っていたのが、非常に気になる。あんなに弱気なマギーは見たことない。ハーシェルが危険な目にあったから、お母さん、もう疲れた、となってるのかしら?
マギーには、元気に笑っていて欲しい。そしてリックの代わりにチームを引っ張って行って欲しいな。何ごともありませんように。
⑥ダリルとキャロル
一時期の、意味深ラブラブさが嘘のように、今回はサバサバした関係。と言うか同性の親友みたいになっている。
ママ友か? だって子育ての悩みを打ち明けあっていたし!!
こんなサバサバでラブラブなスピンオフ・ドラマが作れますか?
心配だわ〜。
⑦ダリルとジュディス
良い親子関係みたいで、この2人を見ているとホッコリした気分になる。
ジュディスの話し方が、おしゃまさんで一人前の女性だから、毎回、ダリルがタジタジになっているのが笑える。
今回、初めてダリルが逃げるとジュディスに言われて怒っていたから、ダリルも逃げると言われて困惑するくらい、悩んでいるんだな、と思った。
仲直りしてくれてよかった。
「俺と一緒にいろ!」と言ったダリルが本当にパパみたいで格好よかったな。
あれは素敵。
もう「分かった」としか言えないね、ジュディスみたいに。
⑧リックは?
今日見ていて「リックはいつ戻ってくるのかな?」と考えてしまった。何故なら原作のアメリカンコミックスでは、このセバスチャンがリックを殺すからだ。
先程書いたようにリックが死んだ時は、落胆してやるせなくて悲しくなった。
居なくなったドラマもショックだったが、死ぬよりはマシか?
いつ戻ってくるのか?
もうリックは、いないことになってしまう?
シーズン11のこれから数週間先に放送されるラストのタイトルに「R.I.P」がついてるから嫌なのよ。
もう早くリックを戻してくれ!
セバスチャンが死んだために、コモンウェルスの話がなくなって次の舞台を見たいが、パメラが、報復してくるか?
来週がこれから先のストーリーを決める回になりそう。
亡くなった大切な人声が聞こえたら、それは永遠に一緒にいることだと、ジュディスは冒頭で話している。
声が響くなら、セバスチャンの声も永遠に市民達の心に残るのだろう。
「すべての命令通り彼らに行え。強く勇ましくあれ。神は貴方と共に歩まれる」
と言うゲイビーが話した説教。
理想な生き方だ。
来週のウォーキング・デッド もお楽しみに!
*第19話はこちら↓↓
【ウォーキング・デッド シーズン11第19話】ネタバレ「ロジータとユージーンの道」あらすじ感想 TWD11-19
また明日!
See You〜♪
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